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ロシアは深くて深い・世界の半分はロシア容認・エネルギーは武器-220710

サハリン2 国有化宣言
ロシアのプーチン大統領は「サハリン2」事業主体をロシア企業に変更すると発表。
ロシア政府が新しい会社を設立し運営する。
事実上の国有化宣言です。それでも報道官は、事業主体が変更されても天然ガスの供給が停止する恐れはないともコメントしている。
このプロジェクトには日本から三菱商事、三井物産が投資をしている。
生産量の6割を日本が輸入している。その量は日本国内の需要の約9%に達している。
これだけの液化天然ガスが輸入出来ない事態は大変です。私が思うには、岸田総理の独り舞台が招いた災いです。
ロシアのウクライナ侵略は欧州の内輪もめ、この程度の紛争、戦争はあちらこちらで起こっている。G7のうち日本以外のG6には大きな問題だろうが、日本にとっては地球の裏側の争いです。並んで記念写真に鎮座する事は問題ないと思いますが、オブザーバー参加国にすぎないNATO首脳会議でロシアを「最大かつ直接の脅威」とベラベラ喋ったのは勇み足じゃないかな。私の偏見に満ち溢れた意見です。日本の首相として初めてのNATO首脳会議への参加ですから気負っていたことは確かでしょうね。三井物産と三菱商事の撤退、そして供給不安定、そして停止となればそれは電気料金値上げとして跳ね返ってくる。’’軍拡外遊三昧’’の付けとしては苦すぎますね。
そしておまけがこれです。
東京都内の演説で「ロシア産石油は今の半分程度の価格を上限とし、それ以上では国際社会で買わない仕組みをつくる」と断言した。これに対してロシアの高官は「市場の石油は大幅に減り、価格もはるかに高くなるだろう」「日本はロシア産の石油やガスを得られなくなり、サハリン2の参加もなくなると反撥した。                2022年7月2日


あちらこちらで起こっているわけではない。今回のロシア軍のウクライナ侵略は余りに許しがたき暴挙であり、その有様は言葉に絶するほどに惨絶です。
ここまでやるのかと怒りを覚える。理性のある人間の所業だとは思えない。
しかし、ロシアが侵攻を始めた時にウクライナの反撃をある程度で止めさせることは可能だったはずである。ロシアも3月中には停戦、少なくとも休戦を予定していた。その戦場に油を注いで災いを地球規模の大惨事にさせたのはNATO軍であり、アメリカのバイデン大統領です。これは極論です。自分の思い込みだけで勝手に他国に踏み込んだロシアに、プーチン大統領に重大責任がある。それを否定しているのではない。

日本の電力供給への影響については難しい。、今回の大統領令は1カ月間の猶予があり、液化天然ガス(LNG)の商業的な備蓄もある。この夏については、安心はできないものの乗り切れると思う。
 問題は冬だ。暖房用の発電需要が高まる。暖房用のガス需要そのものも増える。夏は電力需要のピークが昼間だから太陽光でしっかり発電できるが、冬は夕方や降雪時など、太陽光があまり発電できない時が需要のピークになる。
原子力発電所の再稼働も、現実的には今年の冬にはできない。不祥事で動かないものなどを除くと、使えそうなのは4基しかない。それらを工事して稼働させるとしてもこの冬には間に合わない。
頼りになりそうなのは石炭火力発電だが、(将来の脱炭素社会に向けて)完全にやめる時期の宣言は必要だがここを再開しよう。日本にはCO2排出量の少ない高効率の石炭火力発電システムが既にある。
結論はここだ。
ヨーロッパの理論を世界中に押しつけるな。


その1
国内のLNGの調達先をめぐっては、日本の商社が出資するロシア極東の開発事業「サハリン2」をロシア企業に譲渡するよう、プーチン大統領が大統領令で命じ、供給懸念が高まっている。

その2     7月4日
強まるLNG不足感、アメリカの供給基地が火災で数ヶ月の間運び出し停止となる。
大阪ガスは代替調達へ

その3
日本は昨年決定したエネルギー基本計画で、世界に向けて天然ガスを大幅に減らすと宣言するような内容を決めた。 他国が「日本が買わないならうちに売って」と買いに走っている。

その4
昨年12月、火力発電会社のJERAがカタールからの長期の調達を切ってしまった。500万トンで、サハリン2に匹敵する規模だ。療法で液化天然ガスを失うことは一大事ですよ。こそまで火の粉を被る必要は無いと思う。

エネルギーは兵器

ロシアはドイツへの液化天然ガスの輸出をストップさせました。7月11日~21日までの10日間。

その理由はパイプラインの修理が経済制裁で終わらないからだと発表しています。

ドイツもポーランドもストップだ。多くの国がエネルギーの供給をロシアに依存している。夏場は凌げるだろうが、9月になればもう冬支度が始まる。ガスの代わりに薪をくべて暖を取るという転換は難しい。と心配するのだが、テレビの取材では薪を焚いて冬を越すのだと平然と語るドイツ人の意地に強さにビックリです。広大な国土を誇るロシアです。その懐は深く広大です。平凡なる想像力しか持ち合わせない吾人には推し量ることは出来ない。底なし沼だという表現が一番ピッタリかな。

ウクライナを全面支援している欧米諸国(日本も含む)は、勝負を急いだ方がいい。

日本でも北海道では、東北では旧盆が過ぎると秋風が吹き始める。土用波が立ち始める。冬支度を始めるのだ。

ヨーロッパだって同じだろう。「燃料の高騰」ではくて「燃料の枯渇」が心配され始める。

ロシアは当然、供給をもっと絞るだろう。あらゆる手を使った経済制裁をエネルギー制裁で報復してくる。

その前に目途をつけないと欧州は危機が訪れる。日本だって同じ事です。でも、我が国には停止中の原発が手元に沢山ある。岸田総理は冬の到来までに9基の原子力発電の再稼働に前向きに対処すると発表する。国が全面に立って推進していくと言明した。(7月14日)

 

この記事の前後にNHKの特集番組でキューバ危機のことをやっていました。
 直接的に関係はないのだが、考えさせられるところがあった。一緒に掲載する。

NHKのバタフライエフェクト(映像の世紀)
キューバ危機   世界が最も核戦争に近づいた日
 1962年、10月世界は核戦争の危機に直面した。ソ連がキューバに核弾道ミサイル基地の建設を始めていた。それが衛星写真で確認されたあ。勿論その目的は米国本土への核攻撃を狙っていた。その「キューバ危機」を救ったのは暗号名「HERO」と呼ばれたスパイだった。パンコフスキーその人である。

偵察衛星の写真からキューバにソ連の核ミサイル基地があるという情報がホワイトハウスにもたらされたのが10月14日である。世界は米ソ冷戦の真っ最中である。アメリカは喉元に匕首を、しかも超破壊的な核兵器を突きつけられた。空軍のオレグ大佐は先制攻撃を主張した。空爆という実力行使で一気に破壊する。躊躇ってナチスの台頭を許した過ちを繰り返すべきではないと主張した。国防長官のマクナマラ、司法長官のロバート・ケネディーは国家の緊急事態を宣言する。キューバを海上封鎖してソ連の船舶の通行を禁止する。臨検をする事を提案する。10月22日、ケネディー大統領はテレビを通じて国民に演説をする。経緯を説明し、攻撃用ミサイルが運び込まれないように海上封鎖をする。キューバでも対立と共にヨーロッパ大陸でもNATO軍とワルシャワ条約機構軍との間で緊張が高まっていた。
アメリカは「HERO」から送られてきた基地建設設計図と空中写真が同じである事を示して、キューバからの撤退を要求する。ソ連は見返りにトルコからのNATO軍の撤退を要求する。熟慮の末、ケネディー大統領の大英断でトルコから撤退する。
そしてソ連はキューバから撤退し、アメリカもキューバへの侵攻を思いとどまった。
 全編を見終わって強く思ったことは、その瞬間、瞬間の映像が残っている。残している事への強い驚きであり、共感です。世界が破滅に向かうかもしれないその瞬間を映像という形で残していた。歴史の証人の証言である。
そうなんだ、こんな柔軟な考え方が必要なのだと強く感じたのは司法長官「ロバート・ケネディー」の回顧録にある。
(引用)
キューバ危機の究極的な教訓は、われわれ自身が他国の靴を履いてみる、つまり相手国の立場になってみることの重要さである。危機の期間中、ケネディ大統領は、自分のやっている行動の中で、なによりもまず、こういう行動をとったらフルシチョフあるいはソ連に、どんな影響を与えるかをはかり知ろうと、より多くの時間を費やした。彼の慎重熟慮を導いたものは、フルシチョフを侮辱したり、ソ連に恥をかかせたりしないという努力であった。それは、彼らに付託されているソ連の安全保障とか国益のゆえに、対米対応策をエスカレートしなければならないと思いこませないようにすることだった。

今更余りに遅いが、NATOの事務総長にケネディー兄弟の深謀遠慮の考えがあったならばと思う。NATOだけではなく、アメリカにも欧州の国々にもロシアを蔑ろに、過去の遺物の国として扱う風潮が有ったのではないか。恐るるに足らず。

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