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ウクライナ断章 ロシアの核兵器使用の可能性 その2

とても大切な論点
 プーチンは核兵器を使うことを本気で考えているのか その 2

例えば
プーチン大統領が核戦力の「特別態勢」への移行を命じた。「有名な黒いスーツケースと赤いボタンについてご存じだろう」とペスコフ大統領報道官が不気味な発言をした。こうしたプーチン政権の核兵器を巡るあからさまな威嚇が続いている。そして、使うことを正気で検討している。それが最も懸念される。3月下旬のことである。

常識的には可能性は高くない
 しかし、プーチンは可能性の高くないこと(民間施設への無差別攻撃、病院への攻撃、核施設への攻撃等)を平気で、何が悪いといわんばかりの態度で繰り返してきている。世界中の批判など全く聞く耳を持たない硬直しきった鉄面皮の態度。
国際社会の規範に反することでも、自分の成し遂げたい目的を遂行するためであれば何でもやるという行動が、「核兵器を使用する」という脅しに、信憑性を持たせている。
核をめぐるパワーゲームの主導権をプーチン大統領が握っていると言う状況を作り出している。

一番あってはならないことは核を持っている、使うと脅した国の言い分が通って終戦を迎えることである。
ジレンマ
アメリカやヨーロッパが民主主義や自由主義の人権の面で妥協してしまっては、核兵器で脅した側が利益を得るという先例をつくることになりかねない。一方で、そうした価値を追求した結果、最終的に核が使われてしまったら元も子もない。

ロシアの退場・・臥薪嘗胆

プーチンが過ちを認めて矛を収めて謝罪をし、退場する。これはあり得ない。面子だけの国である。国際社会に頭を下げるなどということは考えない方が良い。第二次世界大戦でも2200万人の犠牲者をだしながらも降伏を選ぶことなく勝利を手に入れている。不利になればなるほど『臥薪嘗胆』になる国だと思う。

核のタブーの勝利
プーチン大統領が“核の脅し”をかけながら、実際には使用せずに敗北を選んだとなれば、「やっぱり核兵器は使えない」という見方を補強する、

核の恫喝

ロシアの言い分に妥協するとなると後世に大禍根を残すことになる。

今後、“核の恫喝”によって、自分たちの政治的な目的を達成しようと考える国が出てこないとも限らない。
とんでもない未来の問題を含んでいる。

NATOの二枚舌に騙されて核を放棄したリビアのカダフィー大佐はクーデターで倒され、殺された。死ぬが死ぬまで、彼は核を手放したことを悔やんだだろう。
北朝鮮も決して核兵器を放棄することはあり得ない。

結論
プーチンの核使用の発言は基本的には脅しである。脳梅に侵されていてもそれくらいは分かるだろう。これまでは核兵器を持っていることが抑止力になっていたが、今は核兵器使用に十分な対処・準備をしないと抑止力にならない。
そして
人類存亡の危機に瀕する使用でなければ核の使用はあり得るのではないか。真剣に本気で議論されている。検討されている。私は正気の沙汰かと言いたいが、現実を直視するとどうもそう言うことらしい。
局所的な小型戦術核の使用は充分にあり得るという判断が、普通になりつつある。
広島に落とされた原爆を基準に、威力が半分のものから、2%ほどのものまでの多種多様の小型核がある。

しかし、ひとたびボタンが押されれば
ある大学のシミュレーションでは、モスクワが核の威嚇射撃を行い、NATOがこれに小型の攻撃で応戦した。するとその後の核の応酬から発展した戦争で、最初の数時間に9000万人以上の死傷者が出た。これが単なるモデルではなくて現実味を帯びているところが空恐ろしい。

4月上旬

北大西洋条約機構(NATO)軍当局者は、露軍の死者が15.000人に登り、負傷者・捕虜を合わせた人的損失が3万~4万人と推計した。(ウクライナ当局の発表では19000人)
旧ソ連のアフガニスタン侵攻(1979~89年)での10年間のソ連兵の死者は、トータルで約1万4000人。今回の侵攻で露軍には、予想を遙かに超えた甚大な損失が出た可能性がある。ロシアの戦力は90-100万人規模だと言われている。そのうち15万人がウクライナ戦線に送られいる。その1割以上の戦死者がでている。少なくとも当初の予定が大きく狂っていることは間違いない。次に何を選ぶかである。

                                                               4月24日

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