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突風・つむじ風・トルネード?八百津を襲う

午前6時40分岐阜県中濃地方にレベル4の警報が出されました

黒塗りの中に八百津町は含まれていますが、発令されていたのは「大雨特別警報」です。

突風が八百津を襲いました。あの野茂で一躍有名になった『トルネード 竜巻』です。『つむじ風』です。
つむじ風吹く
6時半頃に空が真っ暗になってきました。雨も激しさを増していた。これで6日連続の雨だ。雨にはウンザリ顔です。7時過ぎである。突然風が、突風が吹き始め、窓を雨が激しく叩きます。診療室前のヨシズが吹き上げられる。庭木も大きく揺れている。本格的な大雨の始まりかと諦めてNHKオンラインを眺めていた。そしたら停電です。風で送電線が切れたか、倒木が送電線を切断したのだろう。
緊急停電時発電装置が動かない


『待ってました!』とばかりにエネファームの停電時自立発電装置利用を始めました。出力専用差し込み口に、先月買った30メートルのテーブルタップを射し込む。こんな時が必ずくるというタカさんの確信が、本当にやってきたのだ。不遜な考えだが絶好の機会(診療時間直前)がやってきた。はやる心を抑えながら、コンセントに射し込んだコードを診察室まで這わせてパソコンからのプラグを受け口に接続する。が、入力されない。
慌てるな。電源が切れているのだから電源を入れなくちゃダメだよ。が、作動しない。今度は消費電力の少ない、電気スタンドのプラグを差し込む。が、同じくダメだ。
『?』


何かが間違っている。機能しない。考えが及ばない状態の処に美尋さんが呼びに来る。駐車場の屋根(填め込み式のアクリル板)が下からの風で吹き上げられて飛ばされている。そして患者さん送迎用のワゴンの窓ガラスが割れているという。スライド式ドアも傷ついている。雨は小降りになってきた。風も嘘のように鎮っている。見渡せば、畑のトウモロコシや、トマトは根元から折れてしまっている。この時ならぬ青天の霹靂のような突風は、このあたりだけではあるまい。それに、電気がつかなくては診療は出来ない。休診を決めて職員に電話をする。ワゴンの運行も中止を決める。
大袈裟な歴史的瞬間(ひたすら嬉しかった)
LPガスエネファームの工事をしてくれた『杉山』さんが8時過ぎに駆けつけてくれる。室外機は正常に転している。モニター画面の操作誤りだった。自家発電でライトが点灯し、パソコンが動いた。可児からの道すがら強風の爪痕は野上と八百津だけだ。信号の停電も荒川橋東だけだとのこと。患者さんが『診察しますか』『停電ですか』と怪訝そうな顔をしてポツリ・ポツリと顔を出される。やがて待合室の電気が灯り、テレビジョンも映り始める。8時30分頃だろう。雨も降り止んでいる。患者さんはいつも通りありそうだ。職員の再招集をする。
次第に明るみになる被害

お寺の鐘楼が風で倒れ、鐘の上に覆い被さっている。

 風に吹き上げられて柱は抜けてしまった。筋交いで支えている。

                            上部1/10でボキッと折れた電信棒            

患者さんの話を総合すると被害は野上地区と八百津地区に限定されている。金花水吉野酒屋の前の電信棒は上部1/5の当たりで折れ曲がってしまった。木曽川河畔の家では屋根瓦やトタン塀が吹き飛んだ。その一部が電線に引っかかっている。風の強かったところでは家がねじれて持ち上げられのではないかと恐れた。野上の正傳寺の鐘楼が横倒しに毀れ、その下で鐘が横転している。白鬚神社の杉の木も根本から倒れた。
夜のライオンズ・クラブ会合からの情報

石作の立派な鳥居は横回転の杉の木の遠心力で刀で切られた如くの惨状
南宮神社は杉の木が、きりもみ状態でなぎ倒されている。その時の風圧で倒された樹が今度は石の鳥居の柱を「ぶつ切り」にしている。倒しているのではなくて下から1~2メートルの辺りでぶつ切り状態にしている。ものすごい瞬間的な力だ。大きな杉の木が根元からねじ切れて隣の人家の屋根に倒れ込んでいる。
 翌日分かったこと
道路を挟んで対面の家の屋根の棟の瓦が飛んでしまった。ブルーシートで応急手当が施されていた。
その隣家の長屋状の駐車場の屋根が持ち上げられ柱が抜けてしまった。倒壊寸前である。
全て抜けてしまえば倒壊しただろうが、どうにか持ちこたえている。トマトの支柱、トウモロコシ 全滅状態です。

地面にひれ伏している。場所によっては遠くに吹き飛ばされてしまい、簡易ハウスは倒れてしまった。時期的に早いのでイネには全く被害が及んでいない。が、夏野菜はきっと不作となる。高騰が心配される。
私の実家は坂を登った700メート北にあるが、無傷でした。というより強風の吹いた後すら見当たらない。坂の下の倒壊寸前の塀(誰もがその崩壊を心配している代物)も全く変化がない。壁土が落ちた様もない。

テレビジョン放送
 このつむじ風は、結構全国的にNEWSとして報じられました。NHKのNEWS、報道ステーション、東海テレビなどで報道されました。全国の友人・知人から電話やメールを貰いました。安否を気遣ってくれたようです。被害はありましたが、軽微でした。ご心配をおかけしましたが、元気に飛び回っておりました。
思うに大雨だったならば報道されることはなかった。九州や、関市、下呂市、川辺町の方が被害が凄い。風だったから報道の対象になった。もう一つ要点がある。八百津町は平成の大合併をしていないのです。本来ならば美濃加茂市に組み入れられるはずだったのですが、最後に回避しました。大英断でした。『岐阜県 八百津町』という固有名詞が、呼称が生きているのだ。
総括


まだ一度も使ったことのないが、使ってイザという時の万全の備えにしたかったアイシン精機のLPガス専用「緊急停電時発電装置』を短時間でしたが使うことが出来ました。明日起こる可能性のある長時間停電時に対する備えを強化しました。余分なことですが、停電は必ずあります。長期停電は一番身近で一番厄介な困難です。今回は停電したのが八百津町の一部だけでした。原因も明白であり、修理も雨の上がった日中に終わり、最終的には午後5時前に解消しましたが、これが広範囲に起こっているとそうはいきません。昨年の千葉県も長いところは1ヶ月近い停電でした。一昨年も広島で、浜松で、豊橋でありました。八百津は停電しませんでしたが、可児・美濃加茂、犬山、春日井でも数日間停電しました。

時々災害で脚光を浴びる八百津ですが、無災害地区に近い

八百津が注目されるのは10年前の野上の山が崩れた時以来である。あれも確か7月の新盆の時だ。山が崩れその土砂で家がつぶされ、3人死亡(石井直美・修夫妻とその息子)以来である。地鳴りがし、家の中に土砂が水が押し寄せてきていたので修さんは逃げるつもりだったと、聞いたことがある。押しつぶされた家とその土砂は対岸の畑まで押し寄せた。その土砂が堆積した土地は私の所有地でした。2日後、菅総理が八百津に災害見舞いと現場視察に来られた。そして土砂で埋まった私の畑を整地して仮設テントを立てた。現在では太陽光発電所になっているが、総理を接待した土地である。あれから丁度10年です。

註 1

つむじ風
渦を巻いて吹き上がる風。局地的な空気の渦巻き。つむじ。旋風
竜巻
空気の細長くて強い渦巻き。直径10~数百メートルで、積乱雲の底から漏斗状に雲が垂れ下がり、海綿又は地上に達する。 風速は毎秒100メートルに達することもあり、海水、砂塵を空中に巻き上げ家屋を破壊する。

 気象庁の発表
午前7時ごろ、八百津町八百津地区と野上地区で突風が発生。突風は10分ほど続いたという。町によると、被害は100棟ほどとみられる。気象庁は、積乱雲から吹き下ろす気流が地表にぶつかり水平に広がる「ダウンバースト」などの可能性があるとするが、特定には至らなかったという。
また、気象台では、八百津町を含む岐阜県美濃地方に、午前5時45分に、竜巻注意情報を発表していました。

                                            令和2年7月11日  脱稿

追加

この突風・つむじ風騒ぎは7月3日に始まった九州豪雨そして岐阜県豪雨(名称はまだ決まっていない)の最中にありました。まだ5日目でしたから多少心に余裕がありました。この文を書いている今日(13日、月曜日)は11日目で、ザンザンと雨音が聞こえてきます。この間、雨の降らなかったのは昨日12日の日曜日だけです。九州の人吉市の球磨川流域の氾濫、洪水、岐阜県でも飛騨川流域の下呂市萩原、小坂、隣町の川辺町、とんでもない降雨量です。例年の7月の2.5倍とか3倍降っている。1000ミリを超える雨量に達している町もある。それに比べたら被害などと叫べることではありません。こんな些細なことでも後始末やら事後処理で結構手間をとります。そして色々思います。被災者のご苦労を慮りながら『こんな事もありました』程度のことを書いてみました。

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