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L・G・B・Tを考える(2017年07月02日加筆)

L・G・B・Tを考える

 

その1  その契機となった一通のFAX

2017/06/01   木曜日

毎朝、無料で、無断でFAX配信されてくる情報誌「アルフィックスNEWS」にこんな事が特集されていました。要約を記しておけばこんな処でした。

レインボーフラッグ(橙・黄・緑・藍・紫)LGBTの象徴とされる6色のフラッグ

LGBTの人口割合は4から10%だといわれている。日本では13人に1人。その推定市場は世界全体で100兆円の有望な市場だといわれている。同性愛者富裕層説がある。同性愛者に高学歴、高収入の人が多い。歌手のレディ・ガガ   バイセクシャル  アップルのCEO ティム・クック  ホモ

スポーツ選手では水泳のイアン・ソープ 俳優ではジュディ・フォスター、カトリーヌ・ドヌーヴ

同性婚世帯の収入は異性婚世帯の2倍の収入

 新製品や新サービスに対する意識が高く、躊躇せずに購入する傾向にある。一般の3.4倍だといわれている。消費意欲が旺盛なことから、LGBT関連のあたらな商品が注目され、「レインボー消費」と位置づけられている。オリンピック委員会でも、差別禁止条項を設け、今後LGBTに差別的である都市はオリンピックを開催することが出来ない。LGBTを取り巻く社会の動きはインターネットの普及により急速に変化している。お互いの連携が繋がりが強まってきている。

東京オリンピックでも商品やサービスを含めた日本の対応力に全世界から注目が集まることになります。日本の企業にとって無視することの出来ない課題になりつつある。

偏見のない「おもてなし」

海外での日本の評価を高める大きなチャンスではないか。

 

私の(筆者)の考え(起)

同性愛は「自然の摂理」に反すると言うより、趣味の世界、倒錯的な性の世界だと捉えている。遊びとして楽しむ、自分の秘め事としてその世界に没頭することにはそれほど抵抗はない。それでも、同性愛はいいが、同性結婚は認めがたい。社会的には日陰の存在であるべきです。異性結婚者が何故社会的に優遇されるのか。それは子孫を残すという、この地球上の生物に与えられたただ一つの使命を遂行するからである。人類の保存・繁栄には異性婚が必須不可欠であり絶対的正である。最上で最低限の義務を果たす努力に対しての労いであり、報酬である。「子孫の繁栄の為に尽くす」これが最優先されるべきだ。

個性も尊重されるべきであるが、その大前提は種の保存である。忘れていけない。

同性愛を軽蔑視したり、差別するつもりはない。普通に同様に社会生活を営めばいいとおもうが、『天下御免』ではない。人類種の保存・繁栄という範疇では一歩、二歩下がるべきだと思う。

死刑廃止と共に正しい「潮流」だという考えには反対です。

日本はかっては肝要だった。肝要だったが、それは遊びとして、性癖として持っていただけで、普通に結婚し子宝に恵まれ子孫繁栄に尽くしていたはずである。例えば、信長は小姓の森蘭丸を可愛がっていたが妻も子供もいた。左利き、右利きほどの違いだという喩えにはに反対。

 

その2 ちょっと振り返ってみました。(私の考え方は古色蒼然!?)

2001年 オランダで同性婚が正式に認められました。

2013年、フランスは法制化した。2015年だけで10.000組の結婚。4%である。人権大国のフランスとしてはスペインに先を越されて大慌ての承認だった。

ルクセンブルグのベッテル首相は同性結婚した。パリ市長、ベルギー首相も告白。

アメリカでは7割の州が認めている。

2015年6月21日

アイルランドで同性愛の結婚を認める憲法改正が成立。カトリックが80%以上の国である。1993年まで、同姓愛は犯罪。1996年まで離婚も認めない。そんな国で認めました。

2015年6月26日

全米で同性婚“合法化”へ 米連邦最高裁が判断

アメリカでは、同性婚の是非を巡って長年、世論を二分する議論となってきましたが、今回の判決で同性婚が事実上合法化されることになり、同性婚の支持派は「歴史的な勝利」と今回の判決を喜んでいます

2017年5月24日

台湾の司法最高機関にあたる司法院大法官会議は「同性同士での結婚を認めない民法は憲法に反する」という判断を下した。アジア初の同性婚認可

「同性愛者であれ異性愛者であれ、愛する人と一緒にいたいと思う気持ちは変わらないはず。婚姻は、人間の尊厳を守るために重要なこと。彼らが不利益を被らないよう、法を整備すべきだ」

日本の現状(2017年6月)

2017年の時点では同性婚は法律では認められていません。

2015年11月 渋谷区が、同性パートナーシップ証明書を発行。これまでに、世田谷区、宝塚市、伊賀市、那覇市、札幌市等が発行している。が、これは戸籍法に記載される訳ではない。

 

その 3 最近の日本の潮流

2017/03/17

Tokyo Rainbow Pride 2017

日本でも、少しずつ前向きな風が吹いている。今年の来場者数が10万人を超え、過去最大のイベントとなった。そして何より、例年より圧倒的にアライ(LGBTの当事者ではないが、性的マイノリティを理解し支援する人)の力を感じた。

2017/06/24

さっぽろテレビ塔、虹色に パートナー制度導入を記念

 市民団体「ドメスティックパートナー札幌」が企画。団体によると、多様性を尊重する街であってほしいとの願いを込め、LGBTを象徴する虹色にライトアップした。

2017/06/25   朝刊  中日新聞  世談(よだん)

 好きな有名人という見出しで生活部長の池田千晶さんがLGBTの市川さんのことを話題に・・。

2017/06/26   朝刊  毎日新聞

NYでLGBTパレード トランプ政権の政策に抗議

毎年恒例のパレードが25日、ニューヨーク中心部で行われた。「われわれは抵抗する」と書かれた横断幕を持つ参加者の姿も目立った。

心と体の性が異なるトランスジェンダーの消防士や、ニューヨーク市のデブラシオ市長、ニューヨーク州のクオモ州知事らも参加。虹をモチーフに多様性を象徴する「レインボーフラッグ」を振りながら行進

2017/06/30    中日新聞

LGBT  企業も関心

「ジェンダーニュートラル」と表記されたレスト・ルーム

名古屋を活動拠点とするLGBT支援団体『オンザグラウンドプロジェクト」が企画

2017/06/30    夕方配信

ドイツで同性婚合法化へ、連邦議会が法案可決

 メルケル党首は、各々の良心に従って投票することを許可したと発表

 

私(筆者)の考え(承)

大きく世界は変わりつつアルのですね。人間の多様性を認め合おうということなのですね。

でも、世界中にAIDSの感染が拡大した最初の一番の原因は、最悪の温床は「ゲイ」の「男性同性愛者」の肛門性交ですよね。頭では理解しましたが、『ハイ!応援します!』とは言えません。取り敢えず、 まず耳を傾ける。その立場に立って考える。これを心がけましょう

私はもともと泌尿器科医です。大学勤務時代に症例数は多くありませんが、半陰陽の患者さん達を診てきました。Hermaphroditos(ふたなり)と呼ばれる真性半陰陽、男性半陰陽、女性半陰陽、混合型性腺異常症などである。残念ながらその当時十分な治療をすることは出来ませんでした。相談相手にもなってあげられませんでした。この病態に悩み、苦しんでいる患者さん達に援助の手を差し伸べようということであれば大賛成です。

 

その4 用語解説

LGBT

レズビアン lesbian,ゲイ gay(→同性愛),バイセクシュアル bisexual(→両性愛),トランスジェンダー transgenderの頭文字をとった頭字語。

成人約7万人を対象にした調査(2015年)では、LGBTなど性的少数者に当たる人は全体の7・6%。トランスジェンダーは0・7%とされる。

トランスジェンダー(性別越境者)とは、 体と心の性が一致せず、自らの性に対し「違和」を持つ人。病院で「性同一性障害(GID)」の診断を受ける人。性転換手術を受けた人、手術を希望する人達がいる。

 

性同一性障害  GID   (gender identity   disorder)

簡単に言うと男なのに女になりたい人、女なのに男になりたい人

女装や男装をしたい人ではありません。現在は性別適合手術を受けるなどの条件を満たせば、戸籍を変えられるようになった

ホモ

ホモセクシュアル(Homosexual)の略語で、本来、同性愛者という意味だが、男性同性愛者を指して使われてきた。「ホモ」と略した場合は、差別用語となる。対義語はヘテロ(ヘテロセクシュアル、Heterosexual)=異性愛者。

ゲイ

ゲイとは一般的に男性同性愛者のことをいいます。

ニューハーフ

ニューハーフパブなどで女装や性別適合手術(性転換)等をして働いている人のことを指します。ちなみにその人自身がゲイや性同一性障害者であるかどうかは関係ありません。

オカマ

俗に言う「女みたいな・なよなよした男」という感じではないでしょうか。蔑称です。

見た目が汚いとか綺麗だとかいう問題ではないと思います。

6色レインボーフラッグ

1978年、サンフランシスコでLGBTを象徴する旗として生まれた。考案したのはギルバート・ベイカーさんです。旗には「人間の多様性を守る」を意味する虹を採用した。

全性愛 (ぜんせいあい)

パンセクシュアル (Pansexual) や オムニセクシュアル (Ominisexual) とも呼ばれ男性・女性の2分法に基づいた性の分類に適合しない人々も含め あらゆる人々に恋をしたり性的願望を抱いたりする人々。また、あらゆる人々の美的興味を引き付ける可能性を持っている人々。

アライ或いは ストレート

「アライ」とは、英語で「同盟、支援」を意味するallyが語源で、LGBTに代表される性的マイノリティを理解し支援するという考え方、あるいはそうした立場を明確にしている人々を指す言葉です。非、芸能人やスポーツ選手などに共感が広がりつつある。企業にも社内でのアライの存在がカギを握ると注目されています。

 多様な性を肯定していることを示す虹色のシールを貼ろうという試みがあります。

エックス・ジェンダー(X/GENDER)

自分を男でも女でもないと感じる人たちのことで、悩みを語り合うとともに、存在を広く知ってもらおうと、都内で交流会を始めました

 

その  5   色々な考え

性同一性障害    メディカル朝日の 精神科医松永千秋先生の記事から

中核群

小さい頃から一貫して「自分は女性だ」「スカートを履かないと小学校に行かない」

周辺群

 少し大きくなってから違和感が生じ、自己を主張し出す

 

 男として恋愛し、結婚し、子供を2人産んで、今は女性ホルモンを打っている。妻を愛しています。戸籍は男のままです。早稲田で、物理学を専攻し、大月教授に相談して、浜松医大に進学した・・・精神科を専攻し性の不一致の人達の相談・診療にあたっている。

日本はトラスジェンダーに寛容ですか。

欧米では、キリスト教文化では異性の着物を着ることに忌避が有ります。

仏教は寛容である。 観音様は髭を生やしていても中性的である。温泉も混浴もごく普通の社会だった。人前の授乳も普通だった。歌舞伎もあり、宝塚も市民権を持っている。女装、男装はありふれている。

まず耳を傾ける。その立場に立って考える。

                                                                            2016/05/17

 

「体は男性、心は女性」で生きるトランスジェンダーを入学可能に?

 日本女子大検討へ

「『女子とは何か』の判断基準の検討は、女子大の価値や存在意義を考えることに重なる。社会的な弱者を支え、多様性を重んじる米国の女子大の方針はすばらしいと思うが、まず、学生や保護者らの声を聞き、多角的に議論したい」と話している

                                                                      2017/03/19

 

THE DANISH GIRL

この(2017年)秋公開予定の映画です。

性別適合手術を受けた最初の人物、リリ・エルベの苦悩と勇気、そして彼を支えた妻 ゲルダの愛と信念を描いた映画です。

 

クワルテット    1977年発表         なだいなだ著

第1楽章   性転換手術

第1主題   裁くのは誰?

第2主題   裁かれるのは何?

セロ

第1ヴァイオリン

第2ヴァイオリン

ヴィオラ

 

セロ

 語っている私は、傍聴人である作者。

 裁判の傍聴から始まります。物珍しさからの興味本位の傍聴姿勢からだんだん惹き込まれていく。

一人の人間を幸福にして、どうして罪に問われなければならないのでしょうか。

幸福にすることで罪に問われる。そんな馬鹿なことがあるのでしょうか。

第一バイオリン

  私は証人(性適合主従を受けた患者さん)

 裁かれるのはお医者さんだ。自分の幸せが裁かれる。

 あのような手術でしあわせになれる筈がないと考える人々

 しあわせだと言っても本当のしあわせではないという

私がしあわせだと感じるようなしあわせを、この世の中に存在させたくなかったのだ。

 不幸のままにしておきたかった。

秋本かおる・・性転換後の名前   佐多さん  ・・一緒に住んでいる♂

『ルポ』という喫茶店に勤めている。

親からもらった大切な体を勝手に傷つけることを罪悪だとは思わないのか

そんなことは親・神・天・社会が許さない。

 第二バイオリン

検察官が語ります。

「男」から大事なものを取ってそして「女」を創った。その話しを聴いて『けしからん』『けしからん』と想った。裁く法律を探すのが大変だった。が、優生保護法の中に適合する条文を見つけた。

ヴィオラ

 被告である産婦人科医である

 

後書きでなだいなだは、出版当時全く話題にもならなかった。と述懐している。30年後の埼玉医大の手術の折には大きな話題になり、マスコミからも意見を求められた。

2017/07/02   朝日新聞より

 同性愛行為が違法のシンガポール、LGBTイベント「ピンクドット」が開催された。男性同士の性行為が刑法で禁止されている同国で、2009年に始まった啓発イベント。

今年から規制が一段と厳しくなった。・・こんな動きも当然あるのだ。

私の考え(転)

 あの『なだいなだ』が40年年も前にこの問題を提起していた。30年以上経っても議論があるのだから永遠のテーマである。『パパの贈り物』『片目の哲学』などを通して大きな影響を受けた慶応大学出身の碩学である。『幸福論』から論ずるとそうかもしれないが、まだわだかまりはある。

 

その 6  30年間の空白(性適合手術と心臓移植手術)

日本では1950年代 性転換手術ブームの時代がありました。

しかし、1969年、優生保護法違反であるという判決が下り、沈静化してしまった。

この閉鎖的状況を勇気を持って打ち破るには多くの時間を要した。

1999年、埼玉医科大学は、30年間の禁を破って性転換手術を行った。形成外科の原教授の大英断であった。現在日本で性適合手術実施の実績を持つおもな大学は、埼玉医科大学、岡山大学、関西医科大学、大阪医科大学、札幌医科大学である。多くの症例では、設備と実績のあるタイ国で受けていると思われる。

 この30年間、性転換を希望する人は国内で手術を受けられなかった。その間に国外で手術を受けた男性の一人に、カルーセル麻紀がいる。1973年、世界的に有名な外科医Burou博士の手術を受けて性転換をした。

 

註 1

戸籍上の性の変更

 性同一障害者の性別について変更が認められたのは2004年のことである。

 カルーセル麻紀を始めとしてそれまでに手術を受けた人達の性は生下時のままでした。

 

註 2

性適合手術には2つ有る。一つは男性から女性への転換(MTF)である。これは去勢後、陰嚢部の皮膚を反転して膣を形成していた。快適さに問題があった。現在は尿道と陰茎海綿体を除去後の陰茎皮膚を反転させて腟形成をしている。より快適にはなったようである。しかし手入れを怠ると必ず狭窄が起きる為、dilationが必須である。これがかなりの痛みを伴う。もう一つは女性から男性への転換(FMT)である。ペニスの形成は非常に困難であり、まだまだ十分な機能を果たしてはいない。勃起などというエモーショナルな要素を含む現象は言うに及ばず、前部尿道の形成も困難を極める。狭窄、漏れなど克服すべき課題は大きい。男性への性適合手術は困難を伴う。

 

移植医療

1968年、8月札幌医科大学の和田教授の指導の下、日本で初めての、世界でも30例目の心臓移植が行われた。術後経過は順調だったが術後83日目に輸血による血清肝炎で患者さんは亡くなった。その後、多くの疑惑がわき上がり、和田教授は殺人罪で告訴された。1970年、嫌疑不十分として不起訴処分となった。

国内でこれに続く病院・医師はなくなった。

移植医療の再開は、1997年の臓器移植法の制定をへて、30年後の1999年2月の大阪大学の再開まで待つことになった。現在、心臓移植を必要とする患者さんは160名ぐらいいるが、国内での手術は52例にとどまっている。「移植手術」に関しては世界の医療レベルに40年遅れをとったという。

 

私の考え(結)

この1ヶ月(ファックスを読んだのが1日ですからジャスト30日)本を読み、記事を読み、色々と考えました。多様性を受け入れるということの連続として同性愛結婚を認める事には反対です。心の良心に従って投票すれば『x』です。ただ、偏見で性的マイノリティーを傷つけないようにはしたいと思い始めている。多様性を肯定しても虹色のシールを貼るつもりは今のところない。

心の遍歴をこの後も綴りたいと思っている。追加します。

今の日本にはもっと、もっと積極的に精神的に取り組むべき課題があります。

この問題にも30年間沈黙の禁を破って大声を出して呼びかけるべき時期

                           平成29年6月30日 脱稿

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