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治療中断患者さんの再受診考察(2017年05月23日 加筆訂正)

再受診を勧める

 

地域医療の一環として考えたこと

 

 

開業医として30年近く診療をしてきて強く思うことが幾つかある。その中でも気になるのは、高血圧・糖尿病・高コレステロール血症等の慢性疾患を、生活習慣病を指摘され治療を開始した。しかし、治療を中断したまま放置している。そんな患者さんが実に多いことだ。多くの患者さんは自覚症状が無いことと病気に対する知識が不十分なこと等が、治療の動機づけ・継続治療が困難であることの一番大きな原因である。

 数ヶ月は、或いは数年は治療を続けていたが、或る時、受診しそびれた。薬がなくなり、服用を止めたが特別な自覚症状がない。体調も悪くない。仕事が忙しくて通院する時間的余裕がなかった。ついつい、そのまま足が遠のいてしまった。半年経ったが、特別変化は無い。治療は必要ないと自己判断してしまっている。というのが実情ではないでしょうか。

この状態を、ジレンマをなんとかしなければいけません。

 我々医療サイドからどんな方法があるだろうか。診断時そして再診時に治療の必要性を何度も繰り返し、分かりやすく説明し、納得して貰うことは基本であり、最も大切である。

例を挙げれば、50歳代の2型糖尿病と診断した患者さんに軽症糖尿病について治療の必要性を話します。食事療法、運動療法、そして薬物療法を組み合わせて、重大な血管病変の発症を防ぎましょうと説明します。

「糖尿病とは血管の病気です。」

「3大合併症の発症を防ぎましょう。」

「心筋梗塞の治療を受けた患者さんで、糖尿病と診断されたことのないグループに、糖負荷試験をすると半数に耐糖能異常があります」

こんな話を何度も、繰り返しします。

患者さんも最初は「自分の健康のため、元気に長生きをするために続けます」と積極的に反応してくれる。体重を量り、血糖、HBAICの検査を受け、経過は順調である。体調もよくなってきた。このまま続けていけば、合併症の発症を防ぐことが出来るだろう。大丈夫だと思っていると外来で顔を見かけなくなる人がある。どうしたのだろうと気に掛けながらも日常診療に流されてしまっている。そして久しぶりに受診された時には合併症が出現している。こんな状況に陥るのにはいくつかの理由があるだろう。その中の一つに、「継続治療に対する慣れと疲労感」「私は大丈夫だという誤った自信過剰」があるのではないでしょうか

惰性に流れ、いつの間にか怠惰になりがちである。常日頃の己の行動、考え方を顧みれば一目瞭然のことである。

そんな時、身近な、直ぐ隣の、いつも顔を見ている開業医から再診を促す手紙が届けば、思い直して貰えるきっかけになるのではないでしょうか。機会が増えるのではないだろうか。

 そんなふうに考え、今月から患者さんへ再受診を促す手紙を出すことを始めました。

ご批判を頂くことも十分承知しております。

余分なお節介だ。

小さな親切大きな迷惑とそしりを受けるかもしれません。

それでも、地域密着型の開業医の使命感に燃えて新しい試みを始めます。

手紙を受け取った患者さんの一人が、「そうだったぁ」「再受診をしよう」と思い立って頂ければ、

今回の企画はです。

複数の患者さんならばです。

 

                                              平成29年5月22日 脱稿

註1

3大合併症とは糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性末梢神経障害をさします。

註2 

糖負荷試験とは75gOGTTと略しますが、早朝空腹時に75グラムのブドウ糖を服用し、空腹時・30分後・60分後・120分後に血糖とインスリン量を測定します。

追伸

以下は対象となった患者さんに送った手紙の一部です。こんなふうのものを郵送して、再受診を促しております。明日5月24日に郵送します。結果はここで発表します。

 

 

慢性疾患を今一度見直しませんか

健康は大切な人生の宝物

スクラムを組んで守りましょう

                            様

 突然の連絡で失礼致します。佐藤クリニック院長の佐藤 孝充です。

暫く当院を受診されておりませんが、お体の調子は如何ですか?

体調にお変わり有りませんか?

 生活習慣病の治療中断は、動脈硬化や合併症の進行に影響を

及ぼすことが分かっています。それらを未然に防ぐ為にも、治療

の再開が大切な鍵となります。

 治療を中断されていらっしゃるようでしたら、この機会に、治療

の再開を検討されてはどうでしょうか?

 もし、他の医療機関で治療されていらっしゃれば、是非そのまま、

継続して頂ければと思います。もし何処の医療機関にも受診されて

いなければ当院でもお待ちしております。

 当院の治療にご不満があるなど、何らかの理由で受診が難しいよう

でしたら遠慮なく申し出て下さい。ご相談下さい。

貴台の更なるご健康とご活躍を願っております。

           佐藤クリニック

           院長  佐藤孝充拝

                          スタッフ一同

      〒 505-0301

       八百津町八百津4228-4

        電話      0574-43-1200

       FAX        0574-43-9050

             MAIL ADDRESS     satohtakayoshi@nifty.com

註1

この手紙は当院で、慢性疾患(高血圧・糖尿病・高コレステロール血症・等)と診断され

或いは治療を受けられ、尚かつ最終来院日が平成28年10月01日から28年12月

31日の間の患者さんに順次お知らせしております。

受診と行き違いがありましたらご容赦下さい。

又、取り扱いには細心の注意を払っておりますが、不明な点、事実誤認のところが有りま

したらご指摘下さい。

註2

尚、昨年より「佐藤クリニック」のホーム・ページを開設し、当クリニックの医療に対する姿

勢・考え方を掲載しております。ご興味がありましたら訪れてみて下さい。

URL:http://satocl.com/ttmwp/

                            平成29年5月下旬

 

電話・FAX

TEL.0574-43-1200
FAX.0574-43-9050