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ジェネリックメーカー大不祥事事件 その 2 令和2年12月 発覚

日本の医薬品行政への信頼を大きく損ねる事件が起きた。

自主回収(クラスⅠ)の対応について    令和2年12月5日
経口抗真菌剤
『イトラコナゾール錠50「MEEK」』
●『イトラコナゾール錠50「MEEK」』[ロット番号:T0EG08]を処方・調剤された患者様は、
すぐに服用を中止していいただき、残薬につきましては処方元またはお薬をもらった薬局に返却をお願いいたします。
また、お手元のお薬が該当するロット番号かどうか不明な場合も同様に、すぐに服用を中止していいただき、残薬につきましては処方元またはお薬をもらった薬局に返却をお願いいたします。
<理由>
『イトラコナゾール錠50「MEEK」』につきまして、製造過程におきまして、本来含まれないはずのベンゾジアゼピン系睡眠剤であるリルマザホン塩酸塩水和物が、通常臨床用量を超えて混入していることが判明しました。服用された患者様の健康被害が報告されており、服用されますと同様の健康被害が発生する可能性がございます。よって本剤の服用を中止いただき、患者様がお持ちの『イトラコナゾール錠50「MEEK」』を回収させていただきます。
今回混入が判明したリルマザホン塩酸塩水和物は、ベンゾジアゼピン系の睡眠誘導剤で、中枢神経に作用して大脳辺縁系の活動を低下させることにより、不安や緊張を和らげたり、睡眠を促します。通常、不眠症の治療や麻酔前に用いられます。
●今後の代替薬など治療については、医師または薬剤師にご相談ください。
●お手元のイトラコナゾール錠50「MEEK」が2020 年9 月28 日以前に処方されましたものは、睡眠剤の成分は含まれておりません。


『イトラコナゾール錠50「MEEK」』を服用された
患者様がお亡くなりになられました 令和2年 12月11日

本日、弊社が製造販売した経口抗真菌剤『イトラコナゾール錠50「MEEK」』(ロット番号:T0EG08)を服用された患者様1 名が12 月10 日にお亡くなりになられたことが判明しました。患者様のご冥福をお祈り申し上げると共に、ご遺族様には謹んでお悔やみ申し上げます。
本製剤は、本来含まれるべきではないベンゾジアゼピン系睡眠剤リルマザホン塩酸塩水和物が混入したため、自主回収を行っている薬剤です。本製剤と死亡の因果関係を含め詳細な調査を早急に進めてまいります。

福井県は、小林化工に対し、法令順守の意識が欠如し、品質管理の体制に重大な問題があるとして、令和3年1月9日付けで過去最長となる116日間の業務停止命令を出しました。
小括
徹底的に洗い出すべきだ
白癬治療薬(イトラコナゾール イトリゾール)に睡眠導入剤(リルマザボン リスミー)の成分を混入させて死者を出した小林化成というオリックスの子会社は、延べ約5000品目中8割の製品について虚偽の製造記録を作っていた。全くの「二重帳簿」を作り、40年以上前から一部の製品品質検査を行わず、結果を捏造していた。こんなとんでもない会社はお取りつぶしかと思ったら,たった4ヶ月の営業停止処分だけで営業を始めるという。
罰則を厳しくすれば良いというものではないが、医薬品行政に対する国民の信頼は無くなってしまうのではないですか。これまでの製品の再チェックも必要ではないのか?
例えばブランルカスト(ロイコトリエン拮抗薬 気管支喘息 アレルギー性鼻炎の治療薬)は小林化成だけが225MGを製薬している。(販売は日医工です)
先発メーカーの小野薬品も、並み居るジェネリック・メーカーも作ることが出来ていない。ひょっとしたら羊頭を掲げて狗肉を売るが如き状態なのかもしれない。健康被害は出ていないかもしれないが、再調査をする必要は無いのか。私は大いに訝しく思っている。医療の世界で50年近く生きてきたものとして看過する訳にはいかない。
富山の薬売り
昭和50年代まで富山の置き薬の箱が竹井の実家に置いてあった。つい先日までどこの家にも常備薬の箱が居間の片隅に鎮座していた。
小学校の頃には年に2回ほど大きな2段の行李(こうり)を背負った富山の薬売りのおじさんがやってきた。服用した薬の数を数えて算盤をはじいて請求書を書き上げ、それを母に渡していた。そして少し古くなった薬を回収していった。恐らく、使用期限の記載は無く、紙の色の変色から判断、或いは絵柄からいつ頃のものと判断していたと思う。そして、1週間ほどすると「新しい薬が届きました」『お届けに来ました』と言って新しい袋に入った薬を置いていった。
薬売りのおじさんの話は面白く、色々のことを教えて貰った。その頃から病気とその治療方について興味があったのだと思う。おじさんが、かえってから私は母によく尋ねた。
薬はどうやって届くの?富山から薬が届くのが何となく不思議だった。母は富山と美濃加茂は高山線で繫がっているので送って欲しい薬を名前と量を書いて手紙を出すのだよ。それを読んだ製造元が送ってくるのだ。そう教えてくれた。ファックスは愚か、電話も貴重な時代のことである。
今から思えば、富山から持ってくるのは少しの薬と沢山の袋だったんではないだろうか。
回収した薬袋を夜な夜な宿屋で開く。そして薬を新しい袋に入れる。袋は証拠隠滅だから持って帰る。こうすれば、実に効率的だ。
この話は私がお酒の席で興に乗ると笑い話としてMRさん達の前で披露するのを常としてきたネタでもある。

薬くそうばい
佐藤家の昔話を紹介する

私の祖母は私の姉の鈴代に大いに期待していた。スーチャンは頭がいい。物覚えの筋がいい。利発な娘だ。将来は岐(阜)薬(大)に行かせて、薬剤師にさせたい。私は応援する。
それが、口癖だった。
そして、「薬くそう倍」ということをよく口にしていた。良く効く薬をひとつ見つければ、それで「ひとしんしょ」が出来る。大もうけが出来る。というはなしもきかされた。薬の値段はあってなきがものであるという事である。その考えが根深く残っているのだ。

薬の販売で一旗揚げるのだという出席物語のねたでもあった。
勿論国民皆保険制度が出来る前のことである。

令和3年  10月 保険医協会から今回の事態に対するアンケートが届く。
欠品状態は慢性化、常態化しており拡大の一途である。ラベプラタゾール(胃潰瘍・逆流性食道炎の治療薬)、ACE阻害剤(高血圧治療薬)等は、ジェネリックは全くない。先発品も数少ない。増産はしていない。

それに対する私の意見
由々しき事態と憤慨しています。全くの無策に対して憤っています。
今回の大騒動の始まりは昨年秋の小林化成の製造ラインの偽装工作による抗真菌薬の中に入眠剤が混入され、事故が多発したことです。 そしてそれは、ジェネリック大手の日医工にも及び、その混乱が一向に鎮まる気配がない。拡がる一方である。この憂うべき異常事態になっても誰も声を出して協調介入を声を出す組織がないことが残念です。供給不足はジェネリックだけではありません。先発メーカーも品不足になることが分かっていても
これが日本の『製造薬品』メーカーの実態なのかと暗澹たる思いにも襲われました。
一番も問題はこの薬品供給が大混乱に陥っているにも関わらず、厚労省が何一つ有効な改善策をしないことです。法令違反の安全性を全く無視をした生産については厳しく罰すべきですが、そうさせて何かの原因があるはずです。そうさせた責任の一端は『薬価、特にジェネリック製品の無節操な引き下げ」にあります。医療費高騰を抑えるために、最も立場の弱い弱小ジェネリックメーカーを締めあげた結果なのではないでしょうか?
そして、この異常事態を誰も声を大にして告発しないのかと寂しく、残念に思っていたところです。
『日本の医療の実態』を掘り下げて下さい。
10月18日

令和3年10月25日
ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長、現場にゆがみ
朝日新聞
 低価格なジェネリック医薬品(後発薬)はこの10年ほど、国の旗振りで普及が進んだ。だが、水面下でメーカーによる法令違反が横行していた。次々と明るみに出た急成長のゆがみが、「薬都」の富山県など北陸を直撃している。

 「状況は日に日に悪化している。そして終わりが見えない」。
大手の薬局の薬剤師さんはため息交じりだ。


佐藤クリニックの現況

骨粗鬆の治療薬でるエディロールは先発品を採用しているで、表だった被害はないが、供給は綱渡りです。沢井と製薬と日医工でジェネリックを生産していたが、日医工は営業停止処分を受けた。沢井は製造量を調整中である。先発の中外製薬も増産には乗り気ではない。

PPIと呼ばれる胃酸分泌抑制薬は欠品には至っていないが、メーカーを乗り換えている。義経の八艘飛びの如くである。先発メーカーであるエーザイも増産しても正常化すれば売れ残るだけだけだと考えている。

抗生物質の一部は欠品になりそうである。ACE阻害剤と呼ばれる降圧剤もジェネリックはほぼ入手出来ない。先発品も問屋さんにお願いして探し回っている状態です。吹けば飛んで言ってしまいそうな規模の佐藤クリニックなので、購入する薬剤も最小量です。被害も最小量で終わっています。

                     令和3年12月12日  脱稿

 

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