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01日赤奉仕団講演会(排尿トラブル・自己紹介・高血圧・マラソン)

ただ今、御紹介頂きました、佐藤クリニック院長の佐藤孝充です。栄えある八百津町の日赤奉仕団の令和第1回目の講演会の講師として選んで頂き有り難うございます。 空席以外は全て満席という本当に沢山の方に集まって頂きありがとうございます。80名ぐらいの参加者と聞いております。沢山の人の前に立ってそして話をするということは、平成元年に開業して初めてのことです。本当に久しぶりです。かなり緊張しています。朝からオシッコが近くて悩んでいました。話をしている間に我慢できなくなったらどうしよう。結構本気で悩みました。が、今は素晴らしい薬があるんですよ。朝、1錠服用してきました。

ここから話を始めましょうか。

 

女優の西村知美さんも身につまされる思いがあるのでしょうか。

 

UUI(ゆー・ゆー・あい) は「貴女を貴女を愛します」と覚えて下さい

皆さんも思い当たるところがありますか。

 

過活動膀胱(OAB)という言葉を聞かれたことがあると思います。テレビのCMもありますね。 ありふれた,そして皆が困っている、悩んでいる病気です。

まず、尿意の切迫感が必須条件です。そして、「頻尿・夜間頻尿」や、「切迫性尿失禁(UUI)」がある状態を過活動膀胱といいます。40歳以上の男女の8人に1人(800万人)ぐらいの患者さんがいるといわれている。女性では、3人に2人はUUI症状があるともいわれています。

 1日の排尿回数について私達は一桁ならば正常だと判断しています。10回以上はちょっと多い部類ですね。15回を超えると確実な頻尿です。

女性の骨盤の正中矢状断の模式図です。膀胱と尿道の移行部に尿道括約筋(水道の蛇口)が一カ所あります。尿道は短く真っ直ぐです。排尿の途中で意識的に止めることは出来ません。

男性の同様の模式図です。

括約筋は膀胱と前立腺の移行部と前立腺と尿道移行部の二カ所に括約筋(水道の蛇口)があります。尿道は長く折れ曲がっています。ボニージャックスの「オーチンチン」の歌詞をご存じですね。「子供の頃の雪の朝 白く積もった庭に出て チンチンつまんでオシッコで雪に名前を書いたっけ・・」これは男の特権です。

この違いから女性は高齢になると尿漏れしやすくなる。男性は反対に尿閉になりやすい。

 

UUIのしくみです。

自分の意思に関係なく、膀胱の筋肉が収縮し始めてしまう。という説明です。確かにそうですが、それでは男女の差が無いですね。これに先ほど説明した尿道括約筋が緩みやすい

という解剖学的は特徴が加わり、女性に多い。どうもこの病気は女性に部が悪いですね。「男にはないの?}「そんな事はありません!」「ランニングから帰ってくる。喉が渇いている。荒川橋まで戻ってきた。家に着いたらビールを飲むぞー!」と思った瞬間に強い尿意に襲われます。何とか何とか家まで帰ってドアーを開けようとしたが、何と鍵が掛かっている。最悪です。もう我慢が出来ません。

 

失禁にはもう一つ腹圧性尿失禁があります。これはクシャミをしたり、重い荷物を持ったり、咳をしたときに「チョロー」と洩れるヤツです。これは圧倒的に女性に多い。

これを書き忘れると『ウロ医者失格』の烙印を押されます。もう既に追い出されていますが、私自身は気鋭の泌尿器科医だと思っている。

溢流性(奇異性)尿失禁

お風呂の水と同じです。どんどんお湯(オシッコ)が浴槽(膀胱)に溜まります。底の栓が抜ける(括約筋が弛緩する)と排水路(尿道)から排水(排尿)出来ます。底の栓が抜けないと上から洩れてきます。下腹部は異常に膨満し、排尿したいのですが出ません。尿は絶え間なく尿道からチョビ・チョビと漏れ出てくる。前立腺肥大症の尿閉時、脊髄損傷などで排尿支配神経がダメージを受けた時、全身麻酔時などに認められる。

 

行動療法としては肛門を閉める訓練を進めています。女性には入浴時に膣を締める訓練も勧めています。男性には排尿時にオシッコを止める訓練を進めています。

そして、排尿を少し我慢する訓練も有効です。

薬物療法はこの20年間で本当に進歩しました。OABの治療薬の臨床治験に携わったことのある医師として感慨深いものがあります。特に平成30年11月に発売された「ベオーバ」はUUIに対して従来の薬物を遙かに凌駕する効果が認められます。

日本はこの分野では世界の先進国です。去年の12月に発売された「ベオーバ」はUUIに対して有効ですね。この種類の薬剤の開発に携わってきた医師の1人として嬉しいですね。この薬も日本で世界で最初に発売されました。

いい薬ですね。

オシッコにまつわる話はつきません。

ベオーバの名前の由来

:Beta 3 agonist for the patient with Overactive bladder

 

チョット落ち着きましたので最初に戻ります。支部長の交告かまこさんには今回の講演会では大変ご尽力を頂きました。有り難うございました。ご指名頂いたことを本当に喜んでおります。話を続けさせて頂きます。

 

 

少しだけ自己紹介をさせてください       

竹井町の実家の絵画です。旧八百津発電所の資料館に『旧家』という題材で長い間飾ってありました。現在は休館中です。創作者は土岐の「林画伯」です。昭和50年代に何日もデッサンに通ってこられたそうです。こうして絵画で見ると感慨深いものがあります。白壁の日本庭園と大屋根の座敷が大正元年頃、祖父佐藤兼三郎が42歳の頃に建てたものです。その奥の建物は、その当時「よろず屋」と呼ばれていた建物です。詳しいことは分かりませんが築150年以上だと思います。

よろず屋とは今で言うところの「スーパーマッケット」みたいなものでしょうか

前の道路が細目村の繁華街(本郷という地名にその名残を残す)だった頃の面影です。

大屋根の瓦には ㊤の屋号が入っています。

 

八百津小学校・中学校・高校を卒業しました。八百津生まれの八百津育ちです。昭和49年に弘前大学医学部を卒業し、泌尿器科を専攻しました。愛知医科大学そして上飯田第一病院で「内科」を研修して平成元年10月にこの場所で開業しました。この10月で満30年を迎えます。

この記念すべき時に講演の機会を与えて頂き本当に有り難うございました。

今日は佐藤クリニック開業「満30年記念講演」でもあります。

 

丸山ダム建設で八百津中が人で溢れていた時代の、半分になってしまいました。最近も10年で2.000人ぐらい人口が減っています。唯一の救いが和知地区と伊岐津志地区が増減±0である事です。

 

死亡原因で心筋梗塞症例が日本一だと報じられたのは2年前の新聞報道でした。大学時代の友人、勤務医時代の先輩・後輩からも連絡を貰いました。が、不可解のままです。少なくとも入院ベットを持たない開業医が、直接の死因に「心筋梗塞」と記載する事は稀です。

1人あたりの年間医療費が岐阜県下で高い方であるという統計は「地域医療」の一端を担い、預かるものとして大いに反省しています。平成の広域合併が行われ町村が少なくなってしまったことも大きな原因だろうと思います。

以上さらっと八百津町の現況を垣間見ました。

余り高齢者が多いので全国の統計を調べてみました。

秋田県がトップです。県平均で35%を越しています。沖縄が最も低く21%ぐらいです。

東京都も少ないのですが、15歳以下の子供の割合は低く、出生率は全国最低です。勤労世代、言い換えれば、結婚出産適齢期人口は多いのだが、結婚も出産も極端に低い。イソップ物語の「アリとキリギリス」に例えればキリギリス人口が多いのが東京。本日の話題からは外れますので止めます。

 

高血圧の基準について

世界保健機構(WHO)と厚生労働省の基準では

最高血圧140,最低血圧90以上を高血圧と定義しています。

その中で,最高血が160までを軽症高血圧、180までは中等度、180以上を重症高血圧と分類しています。

 また、130と90以下を治療目標血圧と今年の5月に定めました。

いつもの自分の血圧を思い出しながらこの表をご覧下さい。

血圧が高いほど脳卒中の発生頻度が高い。グラフは重症高血圧のグループだと正常血圧のグループよりも8.5倍も頻度が高い事を示しています。「高血圧の治療をして下さい」とお話をしている理由はここにあります。

心筋梗塞にも同じ事が言えます。

 もう一つ大切なこと、それは、「心筋梗塞は75歳までの発症が多く、脳卒中はより高齢者に多い」ということです。

 

脳心血管病死亡リスは血圧120/80mmHg未満がもっとも低い。高血圧は脳心血管病死亡の最大の要因であり,年間に約10万人が高血圧で死亡していると推定されている。

 現在,わが国の高血圧者数は4300万人ぐらいといわれていますが、,そのうち正しく治療されているのは約1200万人ぐらいだとされている。

ところで、 血圧は非常に変動幅が広い。家では130ぐらいだが、クリニックで測るといつも150-160もある。反対に家で高いが診察室では130ぐらいだという方もあります。では一体血圧の高い低いの基準はどう考えるの

そのひとつの答えが24時間血圧自動測定です。

私が24時間血圧計を装着して診察しているところです。その私が患者さんの血圧を測っているところです。

この血圧計を31年間もずっと付け続けている医者がいます。

東京女子医大の渡辺教授です。勿論ギネス記録保持者です。

変わり者というよりも「コケ」ですね。宗教ですね。信仰に近い。

 24時間血圧計は 起きている間は30分間隔で、就寝中は1時間間隔で測定。

一番基準となる血圧ですね。

一般的に,血圧は、朝上がり始めて眼が覚めます。日中は、血圧が高い状態が続きます。夕ご飯を食べ、お風呂に入り徐々に下がり始めます。そして就寝中は下がっています。

 就寝中、血圧が下がっているのはとても大切なことです。体中の臓器が休まります。

夜間高い人は non-dipper typeといって危険な高血圧です。

40代の女性の血圧グラフです。日中も正常・夜間も下がっています。150を越えている時もありますが、1日の平均血圧は112/79です。夜間も下がっています。

理想的な正常パターンです。

70代後半の高血圧の患者さんのグラフです。日中高く、平均で169/91 夜間も下がっていません。却って最低血圧は上がっています。1日の平均血圧は171/89と重症高血圧に近い状態です。厳重な治療が必要ですねと話しました。こんなグラフを見ると患者さんも納得です。

もう一つの答えが「血圧手帳」です

私がクリニックの診察室で患者さんに渡している血圧手帳です。自治医科大学の島田名誉教授が監修されたものです。シンプルで使いやすい手帳です。

通院中の患者さんの血圧手帳記載例です。1日3回、朝昼晩 きちんと測定しておられます。先ほど話した高血圧の基準で行けば治療を開始するべき状態です。

現在、運動と食事療法で経過を観察しているところです。

 皆さんも、是非、血圧を毎日測定して、そして記録して下さい。

血圧は毎日測れる自宅での測定がとっても大切。

隠れた高血圧を見つけるきっかけになる。健康のバロメーターにもなります。

朝と晩、1日2回の自宅での血圧測定を推奨しています。

  • 起床して排尿後•朝食前
  • 1~2分間座って安静にしてから測る

  • 就寝前に1~2分間座って安静にしてから測る

 

最近巷ではこんな事がいわれています。血圧測定する時に手を強く握ると血圧が下がる。

NHKの「がってん」で放送していました。

これがその時のグラフです。私の試みてみましたが「?』でした。今日ご出席の皆さんも家に帰られたら試してみて下さい。

 高血圧の治療についても少し話しておきます

 

この中でも運動は是非積極的にやって下さい。毎日30分はチョット難しいですね。そのつもりで週3回やれば、◎でしょうか。

その運動負荷の決め方はこんな風にしてみて下さい。

有酸素運動の運動量の決め方。

220-年齢=最大心拍数 

70歳であれば、220-70=150

150が最大心拍数 150の60から80%を目標としましょう

90から120ぐらいだと思って下さい。

心拍数のはかり方、左の四肢・中止を橈骨動脈に当てて15秒計測して下さい。4倍する

  楽しそうにおしゃべりをしながら散歩を、ウオーキングをしておられますね。チョット息が弾む程度の運動負荷をお勧めします。運動が主体を心がけて下さい。おしゃべりが主体ではありません。

1日30分と書いてありますが、30分の時間を作り出すのは難しいです。誰もが、1日24時間ですから、48分の1を抜き出すのは大変。そこでこんな工夫も

10分を3回、合計30分、朝起きたら10分、お昼ご飯を食べたら10分、寝る前に10分・・・

兎に角体を動かして下さい。都会の人より田舎に棲む人の方が運動量は少ない。確実に少ない。

 疲れましたね。結構大変ですね。オシッコは大丈夫ですが、汗が出ます。

チョット話題を変えましょう。「気分転換」「眠けさまし」です。

今から10年前、初出場のウルトラ100キロマラソン大会のゴールシーンです。朝5時スタートですから半日チョット走り続けました。制限時間は14時間です。

ランニングはあらゆるスポーツの中で一番楽です。右足を出したら、次にやることは決まっている。左足と右手です。この講演会に参加されているどなたでも出来るスポーツです。

何が言いたいのかって!それは水泳との対比です。泳げない人手を挙げて下さいと呼びかけたら、きっと数人、十人近い人が手を挙げられます。泳ぐには運動神経と天賦の才が必須です。万人向きではありません。その点、ランニングはジョッキングは2本の脚以外何も要りません。お金も掛かりません。

弘前大学時代の恩師から「愚考岩を穿つ」の言葉を頂きました。まさにそのものだと思っています。ランニングを始めたのは45歳の時からです。この年の11月18日に次男の陽が誕生しました。懐妊を知った時、私はこんな事を悩みました。「45歳の時の子供だ。陽君(仮名)のお父さんっておじいさんね」と言われるのは事実だから仕方が無い。しかし「陽君のお父さんって脚遅いねと言わせたくない。それはかわいそうだ。」奮起してランニングを始めました。そして誕生日に間に合いました。

 

ウルトラ100キロをまさか走ることになるとは思ってもみませんでした。八百津から名古屋のテレビ塔の往復をする。まだ足らないので古井の荒薙様の往復を走る。頭が完全にイカレテいますね。普通の人間の挑戦することでは無いといつも自分に言い聞かせています。

 

汗が乾いて紺色のシャツに噴き出しています。染み付いています。シャツはゴワゴワ体中塩だらけです。

よく冷えた泡の出る麦のジュースを流し込むと頭のてっぺんから足の先まで行き渡るのが分かりました。あれほどの爽快感と満足感を感じたことは多くないと思います。もう一度あの旨いビールを飲みたい。今の私の「希」はそこに凝縮されている。

地球上の陸上動物の中で人間が一番長い距離を走るんです。速い動物、遅い動物、大きい動物、色々ありますが人間は走ることが本能的に好きなんですね。

その3年後、最も過酷だと言われる長野県野辺山ウルトラ100キロのゴールシーンです。タイム・アウトまであと1分でした。その後、一週間、体が毀れそうに痛かった。こんな時に患者さんが多いとちょっと辛いですね。でも、「開業医の意地」で患者さんに苦痛に歪んだ顔はみせなかったつもりです。歯を食いしばって笑顔を振りまいていました。

 

フル・マラソン100回記念の大会、4月の第3日曜日 静岡県掛川市の「小笠・掛川新茶マラソン大会」の一コマです。この大会では最後の500メートルを子供と手を繋いで走ることが出来ました。2人の女の子は掛川小学校の4年生だといっていました。3人でハグし合って100回を祝いました。疲れも吹っ飛びました。

 眠け覚めましたかねぇ

                        講演会は  6月28日(金曜日)

                         令和元年07月01日  脱稿

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