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アル中映画 3題(おとうと・失われた終末・リービングラスベガス)

アル中映画  3題  その1 

おとうと(2009年)

ギンコ  吉永小百合  

兄    小林稔侍?

弟    笑福亭鶴瓶

娘(小春)蒼井優

祖母   加藤玲子

 

母の生い立ち・・の語り(蒼井優)

高野薬局’東京都大田区にある高野薬局が舞台です。21年振りにタイガースが優勝下1985年、日光ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した年が時代背景です。 父親は小学校時代に死別。おじさん鉄郎(笑福亭鶴瓶))が可愛がってくれた。小春の命名親でもある。父の13回忌にお酒を飲んで大暴れ・・・その後行方が知れない。

そして明日は私(小春)の結婚式・・・おじさんにも通知を出したが手紙が戻ってきた。

相手は、大学病院勤務のお医者さん(父親も医師)・・その披露宴の直前に鉄郎おじさんが飛び込んでくる。親類縁者は出席に大反対したが、姉の吟子が取りなす。『絶対にお酒を飲まない』という約束で出席を許可される。処が、眼の前のお酒を目にするとダメだった。歯止めが掛からない。酔っ払って大騒ぎをする。マイクを握って勝手にスピーチをし、坂田三吉の浪曲一人語りをし始め、最後は倒れてしまう。

翌朝、眼を覚まし姉(吟子)に油を絞られる。何歳になっても、頭の上がらない姉である。そのくせ慕っている。田舎役者→たこ焼きや、糸の切れた凧のような生活を止めて所帯を持つように説得する姉。厄介者であることは十分承知しているのだが,直らない酒癖だ。

服を着せ、お金を持たせて大阪に返す。

家風に合わないといって戻される娘(小春)、・・運転免許書、歯科治療 etc

婿さんに会いにいくギンコだがトリツクシマがない・何を話あえというのですか!!具体的に教えて下さい。

出戻った小春は昔からの幼なじみの大工の長田徹と親しくなる。大阪の女がお金の返済請求に来る。130万円の証文もあり、銀行から降ろして支払う。そこへ、弟がマドロス姿で戻ってくる・・激しく怒り、なじる姉。小春も一緒になっておじさんを嫌って、撃退する。失意のうちに家を去る鉄郎。

行方不明者として警察に届けていた。大阪で見つかったという通報が届く。大阪に面倒を見に行こうとする母に、なじる小春・・・・。母は小春に諭す。あなたの名付け親になってくれって頼んだのはお父さんなのよ。鉄郎は「みどりの家」に収容されていた。終末期を世話するボランティア団体である。肝硬変からの肝がんの末期であると宣言されていた。鉄郎は死ぬのは、4月7日だと決めている。そして姉に会うことを拒否している。すねている。アル中として満足して死んでいくと決めていた。みどりの家では皆に慕われている。ハープの演奏会、鉄郎の浪曲、小話  最後の日に向かってみんながそれぞれに生きている。

長田徹と再婚することを決める小春。離婚したと聞いてやったと思ったと本心を語る徹。吟子は、最後の鍋焼きうどんを食べる。死の床でいろんな事を話す。

小春も徹と2人で大阪に向かう。

最期の時が来る

小春の呼びかけにVサインをして反応する。   

みんなに抱かれて去っていく。

お疲れさんでした。

幸せよ。 羨ましがられると思うわ。

さようなら

私達の家に来てくれて有難う。

 

                                    平成30年3月26日

 

アル中映画3題 その2 

失われた終末

                              1946年  アカデミー作品賞

 

最初にニューヨークの情景、カメラはアパートの窓にぶらさげた酒ビンを映し出している。そして中の住人にアングルを移す。主人公ドン・バーナム(レイ・ミランド)は、33歳の売れない小説家(学生時代は脚光を浴び、リーダーズ・ダイジェストにも掲載されていた)で、今やひどいアルコール中毒である。今度の週末、兄ウィクは弟を旅行に連れ出して酒を忘れさせようとする。しかし、兄とヘレンを音楽会へ送り出し、その間に酒を飲もうとするが、部屋には、もう一滴もない。お金を探し出して、ナットの酒場に行く。

 ここから、酒を求めて彷徨う描写が始まる。ヘレンとは3年前、音楽会でのクロークでの番号間違いから知り合った。彼女はタイムの記者である。依存症であることを知りつつ、彼の酒癖を、依存症を直すため,可能な限りの協力を努力をしてきたのである。しかし、その彼女の献身的な尽力も空しかった。彼女の両親がやってきた時も逢うことが出来ないで、酒を煽って寝てしまう。そんな彼を彼女は見放さない。ドンは「酒ビン」というタイトルで小説を書こうとしますが一行も書けませんでした。酒が無くなると動きがとれない。持ち金は全て使い尽くし、近所のレストランへ行き、ふと隣の女のハンドバッグに手をかけるが、見つかって店から放り出される始末である。最後の手段で、命から二番目に大切なタイプライターを質に入れようとするが、ユダヤ人の祭日で休業だった。金が本当に底をつき狂いそうになる。バーナムはどんな手を使ってでも酒を手に入れようとする。仕方なく顔見知りのウエイトレスのグロリア(ドリス・ドーリング)から5ドル借りるが、気絶してしまう。気がつくとアルコール中毒専門の病棟であった。看護人から幻覚のことを聞かされる。小動物、鼠、夜中に幻覚からおびえて騒ぎ出す患者を観て、強迫観念に襲われて病院から必死で逃げ出し、アパートへ帰る。ここでも幻覚に襲われて苦しむ。そして遂に訪ねてきたヘレンの献身的な看病を受けるが、彼はそれに耐えきれない。彼女のコートを質に入れピストルと取り替え自殺しようとする。しかし、ヘレンの愛に留められ、今度こそは更生しようと心に誓った。

酒に限らず、「依存症」になったら、どんなことになるのかっていうのをまざまざと感じさせてくれますね。当時は、この作品は衝撃的だったらしいです。酒造業界から「その作品を処分してくれたら500万ドル出そう」と持ちかけられたとか。

 現在の視点からみると、それほど目新しくはないかもしれませんが、主演のレイ・ミランドの鬼気迫る姿はなかなかのものでした。

 

                                                        2018年5月3日

                                 

 

 ビリーワイルダー監督の作品です。

ワイルダー監督の主な作品は、「アパートの鍵貸します」「麗しのサブリナ」「 ローマの休日」「7年目の浮気」などがあります。

 

アル中映画3題  その

「リービング・ラスベガス」                            

                               ニコラス・ケイジ

                       アカデミー主演男優賞受賞

 

原作者は小説書いてから、アルコール依存症から抜けきれないで自殺している。

退廃の街ベガスを舞台に、アルコール依存症の男と娼婦の短くも激しい愛の姿を綴る。重度のアルコール依存症のために映画会社をクビになった脚本家ベンは、ラスベガスの街で娼婦のセラ(エリザベス・シュー)と出逢う。彼女もワケがあってべガスに来ていたが、ヒモの男と訣別して自由の身になった。

ベンはラスベガスの街で娼婦のセラ(エリザベス・シュー)と出逢う。モーテルでお互いの性器のへの愛撫(フェラチオ)から行為に及ぼうとするセラだが、「そんな事に興味はない。俺は君と話したい。それが望みだ」とベン。「どうしてべガスへ?」「ここへ来たのは死ぬまで飲むためだよ」。彼は自分の身体の死期が近いことを分かっていた。

ベンはサラにセックスを求めず、ただ傍にいて話をしてほしいと頼むのでした。ベンが望むものはただひとつ、落ち着く場所だけでした。

サラはどこか優しさを秘めたベンの眼差しが忘れられず、気が付けばラスベガスの街中を探し回っていました。 二人は長年一緒だったような気がすると、セラは思う。そしてセラの家で同棲を始める際に彼女がベンにプレゼントしたのは、ウィスキーを入れるスキットルだった。「君は俺にぴったりのようだ。これを俺に買うなんて感動だよ」。「凄いなぁ。君は何者だ? 俺の酔っ払った幻から訪れた天使なのか」。

ベンは条件として、「決して酒を止めようとしない」ことを誓わせ、また「サラの仕事には一切口は出さないこと」を誓います。こうして二人の奇妙な同居生活が始まりました。

 しかし、この時点で既に死を意識していたベンはひたすら飲み続け、あちらこちらで酒がらみのトラブルを起こします。さすがにベンの酒をやめさせようと考えますが、それでも飲み続ける彼を見て、彼の思うがままにさせてあげたいと思うようになります。しかしベンの体調はさらに悪化し、食事も満足に取れない程まで悪化していきました。病院に行くよう説得しますが、ベンは拒否します。

 ある日サラは、ベンが娼婦をベッドに連れ込んで遊んでいました。サラはベンを家から追い出します。失意のサラは若い客数人にレイプまがいの暴行を受ける。心身ともに打ちのめされたサラに、ベンからの電話がありました。サラがベンのモーテルを訪ねると、ベンはすっかり衰弱しきっていました。それでも酒を飲むベンは、サラと生涯で最初で最後のセックスをします。そして朝を迎えると、ベンはひっそりと息を引き取っていました。

死ぬまで酒を飲み続ける男と、それを見守る娼婦。

堕ちてゆく美学&快楽ってこういうことなのだなあと思う。

このもの哀しい心地よさと痛みは、大人にならなきゃわかりませんぞ。

 ニコラス・ケイジは好きな俳優です。ストーリーのほうは「暗い」イメージではない。

漂うムードはたまらなく魅力的だった。破滅へ向かうことを分かっていながら、どこか明るい破片が散らばっている。

ジョージア出身の力士『栃ノ心』が彼にそっくりですね。

男の美学

 男とは「死にたくない」と思いながら死ぬより「死んでもいい」と思いながら死ぬほうがカッコ良いと感じる生物ですが、そういう時、必死で引き止められるより、黙って涙を流して見送ってもらえたら最高です。男の美学を追究した作品でもある。

変わる必要はない。ありのままを受け入れる。お互いを必要としているから愛し合う二人。アル中と娼婦という流れ者同士の間に生まれた儚い神話。

 

                                              2018年05月03日

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