キャッシュレス社会への挑戦 その1(2019年3月3日 更新)
キャッシュレス時代がやってくる
今度も日本は乗り遅れてしまった
キャッシュレス時代の到来をはっきりと意識したのは2017年(平成29年)のアルフェックス・ニュースで次のような記事を読んだ時からである。どう意識したかというと世界中で急速な勢いでキャッシュレスかが進んでいる。一方日本は全くその流れの圏外にいるという事実を認識し、遅れを意識した。現金文化が続くと、ビジネス上のメリットを日本だけが得られなくなるかもしれないと警鐘を鳴らす人も現れてきた。
キャッシュレス決済は日本は20%、北欧では90%以上、お隣の韓国では税制上の優遇策もありクレジットカードが一般化しており96%という統計もある。中国はQRコード決済がものすごい勢いで普及している。カード決済を珍しがる来日観光客もいるようだ。
北欧の事情 キャッシュレス化が最も進んでいる 現金がなくなる日も近い。
スウェーデン、デンマーク等の統計では、全ての商取引のなかで、現金取引は5%のみであるという。兎に角、北欧ではキャッシュレス社会が進んでいる。
事実、スウェーデン6大銀行のうち、現在において現金での運用を行なっているのはわずか1つだけです。年間の紙幣発行額は右肩下がりを続けており、近いうちにキャッシュレス社会が来ると予想されています。街角の露天商も端末を持っている。現金の要るのは有料トイレぐらいかな?
ちなみに教会の献金までクレジットカードでの支払いを受け付けています。
こ電車・バス全て現金は使えない。小売店でも現金お断りの表示の店がある。
ここまで「非現金化」を推し進める理由には主に5つあります。
1.治安の向上
2.店舗の効率化による経済の活性化
3.消費者の利便性向上
4.紙幣発行予算の削減
5.マネーの透明化
事実、スウェーデン6大銀行のうち、現在において現金での運用を行なっているのはわずか1つだけです。
アメリカの事情
AMAZON GO の登場
遂にレジ無しスーパーマーケットが登場しました。お店に入る時スマートフォンのそのスーパーマッケット用のアプリを開きQRコードをかざして入店。商品を取る操作、戻す操作全てを店内のセンサーで見ている。そのままクレジットカードに転送される。将来的には2.000店以上を目指している。
真にアマゾンはドラエモンの「有れば良いな あったらいいな」を具体化して夢のような商品・サービスを提供している。
これはオフライン(既存の小売店)とオンライン(ネット通販)の融合である。コンピュータービジョン・センサーフュージョン・デープランニングを使っている。自動運転と同じである。
註 1
AMAZON GO の第1号店は2018年1月22日、シアトルでオープンしました。大人気のようです。
中国の事情
全ての面で躍進著しい中国の状況はというと
中国1T 驚異のイノベーション( 2018/02/18日 朝日新聞から)
上海に有る「百安居」・・・ホームセンターでは手ぶらで買い物が出来る
①入店する時に顔認証
②欲しい品物の周りの末端にもう一度顔認証をさせ、商品を選ぶ。
③合計額が表示されれば、キャッシュレス決済(支付宝 アリベイ)
顧客の顔が財布や買い物かご変わり。勿論配達もしてくれる。
スマート・フォンでバー・コードやQRコードを読み取るだけで支払いが出来る。
その原動力がスマホによるQRコード決済。「ウィーチャットペイ」と「アリペイ」の2大勢力を中心に、利用者が爆発的に増加しています。
キャッシュレス決済が異常な勢いで発達中である。その理由は、1000元(1670円)以上の紙幣がない。有っても汚い。信用がない。現金に対する不人気(不信感)がアリベイの人気に拍車を掛けた。他にもネット出前 乗り捨て型の自転車(GPSを使って)
無人コンビニ、無人レストランが出現。
共産党社会だから必ず誰かに監視されている。お金の流れを国に、企業に全て知られる事に対する拒否感がない。当然だと思っている。そんなお国柄、お国の事情もあるかもしれないが、ものすごい勢いで進んでいる。もう「猫も杓子もスマホ決済」の中国です。
日本の動き
日本の動きも活発になってきた。ファァミリーマートはAmazon GOに似た「ファミマミライ」を発表(2017年6月)
JR東日本が「AIコンビニ」ともいえる店舗の実証実験開始(2017年11月)
カメラが撮影した画像を元に、AIが顧客一人一人を認識、顧客がカゴに入れた商品を判別し、計算を行います。今回の決済手段はSuicaのみ。5日間の実証実験期間中に、延べ2000人が利用したということです。
これは、「JR東日本スタートアッププログラム」で最優秀賞を受賞したスタートアップ企業の「スーパーワンダーレジ」を活用したポップアップストア。
2018年04月
経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」を発表する。
2018年11月
2019年10月の消費増税対策として現金以外の決済手段でお金を支払った消費者に対し、購入金額の2~4%をポイントで還元する仕組みを導入。2020年の東京オリンピック開催見据え、日本政府としても小売店での電子決済の導入を推進することにした。
やっと、重い腰を上げ始めました。
日本は現金紙幣文化のお国柄
1)貨幣が清潔で偽札が少ない
2)治安がよい
3)ATM=現金自動預け払い機が全国で安定的に稼働している
4)現金を信用している 肖像画紙幣に愛着を感じている。
註 1 私の慣れ親しんできた「円」紙幣
<<壱萬円札の肖像画>>
聖徳太子 昭和33年発行(1958年)
福澤諭吉 昭和59年発行(1984年)
<<五千円券の肖像画>>
聖徳太子 昭和32年発行(1957年)
新渡戸稲造 昭和59年発行(1984年)
樋口一葉 平成16年発行(2004年)
<<千円紙幣の肖像画>>
聖徳太子 昭和25年発行(1950年)
伊藤博文 昭和38年発行(1963年)
夏目漱石 昭和59年発行(1984年)
野口英世 平成16年発行(2004年)
<<五百円紙幣の肖像画>>
岩倉具視 昭和26年発行(1951年)
<<百円紙幣の肖像画>>
聖徳太子 昭和21年発行(1946年)
板垣退助 昭和28年発行(1953年)
<<拾圓紙幣の肖像画>>
国会議事堂 昭和21年発行(1946年)
こうして戦後の紙幣を並べてみるとその肖像画が素晴らしい。紙質も良い。誰も模倣することの出来ない世界に誇りうる紙幣です。が、まさに「時に利あらず」である。
註 1
垓下の歌
力()は山()を抜()き気()は世()を蓋()う | |
時()に利()あらず騅()は逝()かず |
騅の逝かざるを奈何()すべき | |
虞()や虞や若()を奈何せん |
私の長年の想い
「日本は今の現金決済に満足度が高い。現金決済ではなくて現金紙幣に満足度が高い.それは、前述したように現金紙幣文化のお国柄だからです。私も日本の紙幣「円」は大好きです。肖像画もしんなりしてて良い。紙幣に味がある。変な表現ですが、そう感じている。日本中にATM網が完備され、24時間365日何時でも何処でも現金を手にする事が出来る。そして財布の中に入れていても安心・安全である。情報通信に例えるなら固定電話を使い続けていることに近いかもしれない。極論をすれば、落としても遺失物として届けられている。カード払いにして安全率を掛ける必要性がない国である。それは確かである。しかし、その反面現金を扱う事によるデメリットもある。現金を常に手元に置かなければいけない。現金を数えなければならない等の労働力が膨大である。ATMを維持管理する費用も莫大である。又、国の支配者とすれば、お金の動きが不透明になりがちである。直接手渡しだから賄賂が発生する。クレジットカードだったり、QRコードだったら賄賂にしたくても記録が残るからそうならない。妙味がない。
兎に角、労働力不足(人手不足ではなくて、労働力の絶対的不足)に悩む日本だからこそ、金融の動きをスリムにする事は大切である。焦眉の急である。今度ばかりは追いつかなければいけない。
話はチョット変わって、日本は昭和の時代に日本中に隈無く「電気・電話」の配線を張り巡らしました。北海道の日高山脈の奥地の開拓部落、農場にも固定電話があり、日本中と通信が出来ました。離れ小島でも同様です。電気も然りです。ランプ生活と自家発電を売りにしている山奥の温泉宿以外は電気の配線が行き届いていました。40年前の海外からの特派員報告は、まず電話網の不備(申し込んで1年も経つのに電話が引けない)への不満・不便さから始まった。そして、1日のうち何時間も停電する。チョット都市部を離れて地方に取材に行くと電話も無い、電気も無い。それが当たり前である事を認識することが、その国との対話の始まりだった。そして、日本の電気・電話網は世界に誇るインフラ財産だという日本礼賛で終わりました。
処が携帯電話の登場(1980年代に始まる。2000年には携帯電話が一般化してきた。)で世界中は一変しました。日本も乗り遅れまいと改良を施した。デジタルテレビ画像を携帯電話で受信するサービス(ワンセグ)を世界に先駆けて始め(2006年4月)携帯でテレビ観戦を可能にした。そして「お財布携帯」も始めた。そこで進歩が止まった。ガラパゴス化というのだそうですが、日本は動きが遅かった。胡坐をかいていた。ファックスを開発していた日本は電話とファックスで充分だと考えていた。固定電話偏重姿勢が日本を覆っていた。折りたたみ携帯やスマホが登場し、圧倒的に便利になって、サービスもビジネスも桁違いに拡大した。しかし、充電する手間は要らないし、、安心感があるといって据え置き型固定電話を使い続けた。
インターネットも然りです。世界中に新しい情報通信手段として一般的になっても日本だけが「有害・無害」論に口角泡を飛ばし時間と労力を浪費した。スマートフォーン時代には完全に乗り遅れた。「スマホ部品工場日本」に成り下がってしまった。
電気の配線網も同じ憂き目を見つつある。今や、砂漠のど真ん中、モンゴルの大草原の真ん中でも太陽光発電等の自然再生エネルギー発電から充分に必要な発電を得る事が出来るようになった。雨の降らない灼熱の太陽だけの砂漠の太陽光発電の方が、天気の変動が激しくて発電量の不安定な日本より、ベターは環境になってしまった。
日本人としては、「ほぞをかむ」ところである。努力に努力を重ねて基幹産業として育ててきた。そのインフラ網の充実を世界に誇ってきたのだが、無残にも時代遅れになってしまった。少なくとも最先端技術ではなくなってしまった。
電話・電気網の日本中の設備拡充 そして紙幣「円」の進化は日本の産業のアキレス腱(ではないが、チョットした悲劇)のように思う。悉く覆された。必死の努力が報われなかった。
財務省の造幣局は近い将来本当にその存在理由を無くしてしまうのだろうか。
そうではあるまい。
北欧諸国はユーロ圏に加入しており自国通貨に対して愛着があまりない。ユーロを使っている国もあれば、自国通貨を持つ国もあるが紙幣に対する執着、愛着がないので、寂しいという感じはないのだと思う。
日本は紙幣はなくならない。無くなるのはATMだろうね。これは10年後に要らなくなるでしょうね。
スポーツイベント施設では今後基本的にキャッシュレス決済にするところが出始めている。名古屋ドームの野球観戦の折りドラゴンズが得点したら祝杯ビールを飲むのを常としている。今年からQRコード決済の売り子さんが出てくるかもしれない。楽しみである。大賛成である。
註
スポーツ観戦やスタジアムにも、完全キャッシュレス化の波が来ています。
北海道のバレーボールチーム(ヴォレアス 北海道(本拠地 旭川市)、楽天のプロサッカーチーム(ヴィッセル神戸 ノエビアスタジアム 神戸)、楽天のプロ野球チーム(楽天イーグルス 楽天生命宮城)等が導入予定です。3月2日、本拠地のノエビスタジアム 神戸での開幕戦では「現金 NO」「完全キャッシュレス決済」だった。好評だったが、戸惑う人も有った。こんなショック療法で少しづつ浸透させていくことが大切ですね。