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糖尿病治療戦略を見直す

グリコヘモグロビン(HbA1c)分析装置を遂に設置する

 

私(佐藤クリニック)は、糖尿病に対して、症状の有無、血糖値、そしてHbA1cの値等を総合的に判断して診療しています。その中でも大きな指標となるものはHbA1c値の推移である。検査時から過去1~2ヶ月間の血糖の平均値を示すのだから、検査時の血糖値には左右されない。患者さんへの説明にも最も有用だ。それでありながら、一般開業医のレベルでは、HbHbA1cA1cを血糖と同時測定する機械を導入することはかなり難しかった。少なくとも佐藤クリニックでは見送ってきた。ある程度コンパクトなグリコヘモグロビン分析装置はこれまでにもあった。が、限られた面積の診療所では設置する場所が、問題だ。所狭しと医療器具が検査器械が並んでいるのだから「入れて!」とか「どいて!」とは言えなかった。

つまり、血糖はその場で測定し説明をしてきたが、HbA1cは検査センターに測定を依頼する。午前中の採血で翌日結果が届く。夜間診療の採血だと2日後でないと検査結果は届かなかった。実際の診療では、次回診察時(1ヶ月後、或いは2ヶ月後)に話をすることが大半である。ちょっと遅きに失する検査結果説明である。そうは思いながらも、やむを得ないと諦めてきた。

それが、この5月からよりコンパクトな機械(体積で比較すると半分以下、設置面積はA5サイズの紙片よりも小さい)が登場した。測定時間も5分間と短縮された。再現性も優れている。

そして特筆すべき事は米粒の半分ほどの採血で血糖とHbA1cの両方が同時に測定出来る。静脈採血ではなくて指先の穿刺採血で十分になった。これは患者さんにとっては大きなメリットである。

5分後に結果が分かるという「大きな、大きな利点」と

穿刺採血で測定可能であるという「嬉しいメリット」  

患者さんにとっては計り知れない利点だと思う。

 

では私達、開業医等の医療サイドにとってはどうだろう。

受診時の血糖値だけでは、患者さんの近時過去の糖尿病の状態を伺い知ることは出来ない。結局、前回のHBAICのデーターで説明をするという隔靴掻痒的なところがあった。

それだけに、受診時の過去1~2ヶ月間のHbA1cのデーターで説明が出来るのは大きな進歩である。しかも、5分後に測定結果が出てくるという迅速性は、大病院の糖尿病診察よりも、よりスムーズである。新しい時代が来るとまで書くと大袈裟だが、新しいページを開くことが出来るかもしれない。そんなニュアンスを懐いている。

 私達、開業医にとって大きな戦力になりそうだ。市中病院のレベルにちょっと近づけるというのが実感である。

同時に大きく反省もしている。設置場所を何とか確保して、患者さんへの便宜を図るべきだった。大変申し訳なく思っている。

 

ところで、HbA1cとは何ぞや。私も久しぶりに勉強し直し、誤って理解していたところを修正しました。自分への再認識のつもりで改めて説明しておきます。

 

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに?

 

その1  HbA1cとは?

 

ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質の一種で、全身の細胞に酸素を送る働きをしています。血液中のブドウ糖がヘモグロビンとくっつくと糖化ヘモグロビンになります。

 血糖値が高いほどヘモグロビンに結合するブドウ糖の量が多くなります。いったん糖化したヘモグロビンは、赤血球の寿命(120日)が尽きるまで元には戻りません。

つまり、血糖値の低い状態が続くと、ヘモグロビンに結合するブドウ糖の量が少くなるの

HbA1cは過去1~2ヶ月前の血糖値を反映しますので、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。 HbA1cは糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかをパーセント(%)で表したものです。

その2 もう少し掘り下げてみました

ヘモグロビンには大きな役目が2つあります。その一つがですが、 酸素と結合して全身に届ける役目です。もう一つが血液中の糖とも結合しやすいという性質(役目)です。

糖と結合したヘモグロビンには糖の種類によって分類されます。そのうちブドウ糖(グルコース)と結合したものをHbA1cと呼びます。

その3 もう少し

 成人の血中ヘモグロビンの組成は、約90%がヘモグロビンA0、約7%がヘモグロビンA1、約2%がヘモグロビンA2、約0.5%がヘモグロビンFである。このうちヘモグロビンA1は、さらにA1a1、A1a、A1b、A1cなどに分画されるが、最も多いものがA1c分画であり、総ヘモグロビンの約4%を占める。また、ヘモグロビンとグルコースの反応は非酵素的におこるため、ヘモグロビンA1cのヘモグロビンに対する割合は血中グルコース濃度(血糖値)に依存し、糖尿病治療における血糖コントロールの指標として用いられる。ヘモグロビンA1cのヘモグロビンに対する割合は、過去1ヶ月から2ヶ月の血糖値の指標となる。

「グルコヘモグロビン」という言い方の法が適切、より的確にその意味を表していると言えそうですね。

最後に

 熊本宣言     

      2013年5月   日本糖尿病学会で採択

1.血糖正常化を目指すときの目標値(正常値):6.0%未満(NGSP 以下同じ)

2.合併症を予防するための治療目標値:7.0%未満

3.有害事象等により治療強化が困難な場合の目標値:8.0%未満

                2018年05月13日  脱稿

 

 

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