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杞憂(その1 深紅の薔薇の花・・自由に発現できる社会)平成29年6月20にち改題
深紅の薔薇の花
「自由にもの言える社会を」は私達の宝
今年も診療室の前に深紅の大輪のバラが咲いた。一気に花をさせる様は実に見事である。私のお気に入りであ
る。美しき麗しきバラは傍らを通る患者さんの眼を惹きつける。多くの人は足を止めて、暫しその美しさに魅入
られている。眼を合わせせると「綺麗なバラですね。」「赤いバラは私達の心をもワクワクさせるね。」
毎年我がクリニックの前で交わされる初夏の挨拶であり、風物詩です。赤いバラの花は愛の象徴であり、凜々しく咲く姿は勇気と敬愛を現します。あの「ゾクッ」とするような、空間を切り裂いて咲く美しさに惚れますね。
正岡子規、与謝野晶子、北原白秋等の俳句や短歌にもよく登場します。
石川啄木にもこんな詩があります。
一輪の赤き薔薇の花を見て 火の息すなる唇をこそ思へ
彼の代表歌の一つである
友が皆 我より偉く 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻と親しむ
の「花」はきっとバラですよね。私は一人そう信じている。
又、私の知っている薔薇の花の歌だって結構ある
マイク眞木の「「バラが咲いた」
加藤登紀子の「百万本の薔薇」
シューベルトの「野バラ」
中島みゆきの「バラ色の未来」
ビレッジ・シンガーズの「バラ色の雲」
加山雄三の「恋は赤いバラ」
そんなふうに人々から愛で愛されているバラの花である。
ところが今年の初夏はちょっと世の中の空気が重っ苦しい。
美しい赤いバラの花を見ていても、なんとなく「アン・ニュイ」である
その思うところは、
「組織的犯罪処罰法改正案」が5月19日、衆議院法務委員会を通過した事にある
犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含むちょっと身の毛もよだつような条文が含まれているのだ。
「社会 確実に窮屈に」なるだろう。
「内心の自由」に手を突っ込まれたくない。
「赤い薔薇を赤い」と言える社会を維持したいものです
こんな事を書くと「何を時代錯誤の感覚で、バカバカしい妄想にとらわれているのだ」とお叱りを受けそうです。
なかなか思いを共有することは難しいことです。
こんな話を書いてこの項を終わります。
某県の警察学校の入学式です
来賓の挨拶も校長の挨拶も終わりました
緊張も解けてきました
担当教官の訓示が始まります
警察官としての規範の説明があります
ごく普通の風景です
最後に、教官が「一輪の赤いバラの花」を右肩の上に掲げました
新入生にこう質問します
「このバラは何色ですか?」
「みんなで一斉に答えて下さい」
生徒達は躊躇うことなく答えます
「赤いバラの花」
教官答えて曰く
「そうか!君達には赤くみえるのか!」
「私には白いバラにみえる」
「最後にもう一度尋ねる」
研修期間が終わり卒業式です
指導教官は、壇上に立ち上がり尋ねます
勿論入学時と同じ色のバラの花を掲げています
「このバラの花の色は何色ですか?」
一斉に答えが講堂中に
響きます
「教官殿!」「白いバラであります。」
この世界が直ぐそこまで来たのですね
2017/05/20 脱稿
註 1
年越し苦労の、心配性の読者から、この記載について危惧が寄せられました。
私も配慮が足りませんでした。
警察学校の思想教育は絶対に必要です。意思の統一ということが最も大切な組織だと思っています。
このエピソードと同じ事を私達一般市民にも強要され始めるのではないかという心配を書いただけです。
杞憂だということは分かっているつもりです。
歴代総理大臣の中でも阿部首相が日本のことを、日本の将来のことを一番真剣に考えておられる。今回の法案も
その国を憂うる趣旨に沿った大切なものであると認識しております。それでも、どんな素晴らしい思想体系に作
用と反作用があるのだ。私の言いたかったことはそれだけです。
私個人としては教育勅語の「一旦緩急あれば 義勇公に奉じ 以って天壌 無窮の皇運を扶翼すべし」を信条とし
ています。それは私が培ってきたものである。監視されたり、押しつけられたりするのには抵抗があるな。
「思想の自由」「表現の自由」が息の根を止められるのはいやですねえ。
註 2
ブルー・コメッツの「ブルー・シャートウ」を書き忘れるところでした。
きっとあなたは赤いバラの
バラの香りが苦しくて
涙をそっと流すでしょう