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ウクライナ断章 その 8 戦後の終わりを告げる事態に  国連憲章の敵国条項

「戦後の終わり」
国連憲章にある敵国条項
  

 「第2次世界大戦で、旧ソ連は2000万人を超す犠牲者を出しながらも対ドイツ戦に勝利した。連合国側の5大国として第2次世界大戦の勝者となった。それによって、国連安全保障理事会常任理事国の地位を得ることが出来た。しかしそのステータスはこのウクライナ戦争の結末によっては消滅するだろう。今回の侵攻で、ロシアは権利を自ら放棄したとも言える結果を招くことは間違いない。ロシアが予想もしなかった終末・終戦を迎える可能性はゼロではない。そうなれば、それは『戦後の終わり』でもある。新聞記事の中に、私と全く同じ意見の人を見つけました。
今の世界で『一番悪いのは何処の国だ?』と問われたら、最後に残る答えの国は「残念ながら日本」なのです。正しくは第二次世界大戦の敗戦国である枢軸国群なのです。ドイツ・イタリア・日本の三国同盟を中心とした国を指します。国連憲章には敵国条項が記載されているのですね。
かいつまんで書いておくと、第二次大戦に勝った5大国(米・ソ・中・英・仏)は自分たちの正当性を主張するために旧枢軸国を永遠に世界の敵(悪)であると定義づけておく必要と決めました。そしてその精神を敵国条項として定めました。
事のの善悪にかかわらず、敵国条項に指定した国が自分たちに不都合なことを始めたら徹底的に成敗してかまわない。勿論他の5大国の決議も要らない。
この条項があるので『ソ連の敗戦後(ポツダム宣言受託後)、日ソ不可侵条約を破って対日戦争の参戦、シベリア抑留、南樺太占領、北方四島の占領は国連憲章上は何ら問題は無いのです。ヤルタ会談で密約が出来ていたとされている。ほぞを噛み、唇を噛みしめて悔しさを情けなさを味わっても厳然とした事実である。日本がソ連、ロシアに北方四島返還を要求しても、そぶりを見せても応じようとはしない。ジェスチャーに惑わされてはいけない。そして、世界中の国が賛成すれば国連憲章は変更出来るのだが、世界中の国は取り合ってもくれない。

私はこの敵国条項のことを知ったのは15年ほど前だと思います。大ショックでした。これだけ世界の平和のために反戦争の為に努力している私達は何故理解されないのか。高く評価されないのか。ズッと疑問だった。その疑問は氷解したが、突き落とされました。ラストの世界戦争・第2次世界大戦後の戦後処理がもたらした底なし沼でした。日本(枢軸国)がルールを破れば厳しく攻めたれられ、他の国がルール破りをしても新しい道を開いたと高く評価される。例えば、名古屋オリンピック誘致の折りにソウルに負けました。ソウルの立候補は〆切りの翌日でした。完全なルール違反です。FIFAワールドカップの日韓合同開催も然りでした。日本開催を発表するばかりになっていたが、発表されたのは日韓共同開催でした。日本は同意していませんでした。チョット本筋から外れるが、最近の事柄(2017年)から掘り出せば、杉原千畝の「命のビザ」を中心とした杉原リストの世界記憶遺産への登録未遂事件です。太陽が西から昇らない限り登録は確実だと思われていた。誰もが信じて疑わなかったが何の説明もなく登録は見送られた。その理由はあれこれと詮索された。アメリカがユネスコを脱退した。イスラエルも脱退。日本は敵国条項の国だ。ユネスコは敵国条項の国の国民が第2次世界大戦中に行った人道的な行為を賛美する組織ではないということだ。

そのあたりの怒りの気持ちは『杉原リスト』世界記憶遺産登録見送られるに詳しく書きました。ご一読下さい。

その臥薪嘗胆の悔しさから脱却するチャンスが巡ってきた。世界で一番悪いのは『ロシア』だとなる絶好の機会です。
 冷静に考えれば、なる訳ない。可能性は極めて低い。怒り心頭に発しているアメリカであり、欧州ですが、最後には君子は豹変して、ロシアと笑顔で握手する。調子に乗ってロシアを非難し続けているとロシアから厳しい制裁をされるのは「日本」となりかねない。
 それでも「第三次世界大戦の可能性」を否定しないロシアの首脳の発言、核兵器使用を言明して憚らないプーチン大統領。
この機会にロシアを完膚なきまで叩きのめしてやろうとするアメリカのバイデン大統領は、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官の2人を「ウクライナ」のキーウイに特使として派遣しました。うくらいなは戦場ですが、キーウイはウクライナ軍がロシア軍から守り切った首都です。ウクライナのレジスタンスの象徴でもある。兎に角、ものすごく危険な行動です。が、それを平然として遂行し、ゼレンスキー大統領とも会談をしました。。当然丸腰では乗り込めませんからアメリカ軍が護衛したはずです。ロシアに対する最上級の挑発です。
 運命の日、5月9日(対独戦勝記念日)まで2週間を切りました。その時までにロシア国民にアピール出来る成果が必要です。ロシアからクリミア半島に地続きで繫がる。その為にはマリウポリの陥落が必須です。ロシアは勝手に陥落を宣言しましたが、ウクライナ軍は降参をしていません。これでは「軍事パレード」で盛大に祝うことが出来ません。
4月26日、ラブロフ外相は記者会見でこんな物騒な発言をしています。
「第3次大戦ありうる。核戦争回避が基本的立場であるが、けっして除外はしていない。」
核戦争の現実味が増してくる。というよりも核の存在そのものがお互いの暗黙の抑止力であり、核戦争という言葉を口に出さないのが核保有国の配慮だったはずである。それが、今や、ロシアが何時劣勢を取り戻すためにしびれを切らして踏み切るのかを真剣に議論している。ロシア政府も「あり得る」「可能性はある」と全く否定しない。
今の米ロの首脳間に対話のチャンネルが機能していない。1962年のキューバ危機の時代には有った。ケネディー大統領とフルシショク首相の2人の電話会談で「一触即発」の危機は避けられた。
4月26日

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