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北海道東部胆振地震(全道停電)を考える

全電源喪失と25年振りの巨大台風21号

北海道東部胆振地震(09月06日気象庁命名)

     震度   6+ から7

     マグニテュード  6.7

                                                                                                                 死者41名(政府発表は45名)9月13日現在

     震源の深さ    37KM(異例の深さ) 活断層とは関係ない

平成30年9月6日  午前3時08分

  北海道の南部 厚真町 やむかわ町でM6.7 震度 6+(後に7に訂正)

北海道 ブラックアウト

道内全てが停電となる。電源に近く緊急停止した苫東厚真(とまとうあつま)発電所。この停止が全道での停電の始まりだった。

地震の揺れにより、苫東厚真発電所を始めとして道内にあるすべての火力発電所が緊急停止した。発電量と使用量のバランスが崩れたため、電気の周波数が乱れてしまったことが原因だということです。これを避けるために電力の供給が減った分、部分的に停電させ、需要を減らし需給のバランスを保つ手法をとるべきであった。その手段を執るはずだったが今回はその手段を執らなかった。そこは解明されていない。(09月10日)

 全道停電は解せないね。火力発電所は停止させてしまうと自分では動かせない。発電出来ない。外部電源から電気の供給が必要なのだそうだ。そして、東北電力からの海底ケーブルを通して融通供給をされてはずだった電力も「直流から交流」に切り替えるためには外部電源が必要なのだ。自分で動くことの出来ないシステムなのだが、それを補う体制を充分に整えておくべきだった。北海道電力だからこそ必須の考え方だった。そこが不十分だった。

 もう一つは、苫東厚真発電所が北海道内の電力の半分を供給する体制のままだったことだ。泊原子力発電所が稼動していた時は、ここが120万キロワット発電していたので、苫東に対する依存率は大きくなかった。今は、泊原子力発電所は稼動が許可されていない。結果的に稼動している全ての火力発電が停止してしまった北海道はブラックアウトとなり、長時間続くことになった。その結果が「大手電力の管内全域で停電」という有ってはならない事態に陥ってしまった。北海道電力によるその説明も未だ聞いていない。(09月8日 朝)

停止中の火力発電を再稼働させたり、水力発電を再開させた。そして、少しづつ再稼働を始め停電状態は99%無くなった。しかし、全くの綱渡り状態であることは間違いない。政府と北海道電力は20%の節電を呼びかけている。これが達成出来ないと計画停電というとんでもない代物を強要されてしまう。避けたい。

註  

  中部電力の談話   

火力発電所は分散してある。最大出力の新潟上越火力発電所は遠く離れている。東京電力・関西電力とのとの電力の融通も充分に確保されている。ブラック・アウトの可能性は極めて低い。

 

 原発は大丈夫

泊原発は稼動しておらず、使用済み燃料を冷却中であったが、外部電源喪失が9時間半続き、送電されなかった。原発付近は震度2程度だったにも拘わらず、「「一気」に非常時の体制に陥った。緊急用のディーゼル発電が発電して事なきを得ているが、全く危うい。

外部からは3ヶ所から送電される仕組みになっていたが、全て発電を停止し、送電されていなかった。

完全な回復に一週間以上

完全な復旧に一週間以上掛かるなどということが先進国といわれている日本で有っていいのか。「想定外」という言い訳をしていいことと、許されないことがあると憶ふのですよ。

 電力会社にはその使命があるはずです。電力自由化を認めなかった一番大きな理由が停電の発生率が多くなるという理由だったと記憶する。日本を代表する企業(少なくとも大手電力会社は発電から売電までの独占的な企業です。それだけ法で保護するということはその社会的責任は極めて大きいはずです。 それなりの自覚と責任があるはずですよ。

生かされない教訓

東日本大震災と福島第一原子力発電所爆発事故の折に東京電力の責任が随分と議論されました。地震の規模も有史以来というほどではない(津波の記録から貞観地震の津波の記録ではそれ以上だったと分かっている)にしろ、とんでもない規模だった。一番残念なことは、福島原発も最初の設計では海抜30メートルぐらいの台地の上に造るはずだったが、途中で計画を変更して最終的には、海岸線近くまで低くして造った。建設費コスト、そして平時の操業の便利さなどを考えて変更したのだろう。だから完璧なものではなかったかもしれない。それであったとしても、「青天の霹靂」のような事故でした。そして、私達はここから多くのことを学んだはずである。生産拠点を分散させる必要も議論された。電力の融通も出来るようにした。50-60ヘルツの壁も大きな変電所を設けて万一に備えたはずである。

しかし、教訓は生かされなかった。

「より便利な現代社会はより脆弱である」ことを今一度噛みしめる必要がある。

山岳部の先輩がいつも言っていた。「現代人は便利を取って安全を手放したのだ」と・・。

 

 大阪電気通信大の伊与田功教授(電力系統工学)によると、電力の需要と供給のバランスが大きく崩れると、設備への負荷やトラブルを避けようとして、各地の発電所で電気の供給を遮断する安全機能が働く。今回の地震では、北海道各地で電気の遮断がドミノ倒しのようにいっせいに起こり、すべての発電機が電気系統から離れて広域で停電する「ブラックアウト(全系崩壊)」が起きたとみられる。

 

北海道と本州のあいだには、電力をやりとりできる「北本連系線」がある。しかし、これを使うには北海道側で受け取る直流を交流に変換するための交流電力が必要で、これを調達できなくなった。・・・イザというときには仕えないシステムのままだった。

  電力の過不足を融通し合うときぐらいであれば、十分に機能したが・・・。

 

 

災害列島だとか、「地震・雷・火事・親父」などという突然襲ってくる脅威のことをあれこれ書くのはさすがに飽きた。疲れた。どうも気にくわない。もう書かないと決めていたが、これでもか・これでもかと日本列島に襲いかかっている大自然の猛威・脅威を目の当たりにし、報道の「おどろおどろしい記事」を読むとなにがしかの感想を書いておこうと思い始めた。

大前提は変わりません。日本は災害列島です。春・夏・秋・冬にそれぞれの災害があります。そしてそれ以外にも飛び入りの災害がある。その日本列島に暮らす以上災害に遭うことは避けて通れない。与えられた運命である。子供の頃に関東大震災に遭遇し、平成7年には阪神淡路大震災に被災した。そして平成23年には東日本大震災で被災したというご婦人がいた。そんな人は稀だとしても誰もが経験があるのだ。そんな折にはじっと待つのみだ。日本人特有の我慢!耐えることの大事さの人生訓はこんな処から醸し出されているのかも・・・。

 

 世界的にみて地震がおきない国の方が多いのです。起きない国は殆ど起きません。例えば、アフリカ大陸やオーストラリア大陸の大部分では地震はおきていませんし、ドイツやフランス、イギリスなどの国も滅多に地震はおこりません。イタリアはありますね。

そして強調しておきますが・・・

世界の地震の10%が日本でおきてます。

マグニチュード6以上の大地震に限定すれば20%以上が日本で起こっています。

唖然としますね。「うむー」と唸ったまま顔が上げられません。

 

ついでに、震度とマグニテュードのことを書いておきます。

「マグニチュード」は、地震そのものの大きさ(規模)を表すものさしです。一方「震度」は、ある大きさの地震が起きた時のわたしたちが生活している場所での揺れの強さのことを表します。

  阪神淡路大震災のマグニチュードは7.3,東日本大震災のそれは9.0です。

マグニテュードが1上がると地震のエネルギーは32倍多くなります。東日本大震災は約1000倍のエネルギーを持っていたことになります。

 マグニチュードは地震のエネルギーといわれることが多いですが、おおよそ地震で動いた断層の大きさに対応しています。 マグニチュードが1大きくなることは、地震のエネルギーが√1000=だいたい31.6倍になることを意味しています。これは断層の面積がおよそ10倍になることに対応しています。

 

 

 現在、マグニチュードが1大きくなると地震の発生頻度がおよそ10分の1になることが知られています(グーテンベルク・リヒター則といいます)。

 

 例えば地球上ではマグニチュード8以上の地震が1年に1回程度平均して起きています。マグニチュード7以上なら10回、6以上なら100回……というように増えていきます。

 

 一方で日本では地球上で起こる地震のだいたい1割が起きるので(日本は地震大国です)、日本ではM8が10年に1回、M7が1年に1回、M6が1年に10回程度起きています。もちろん平均してなので年によって大きく増減しますが、だいたいこれくらい起こるという目安として知っておくといいかもしれません。

 

戯言

東日本大震災の折り、日本の治安の良さが世界中から称賛された。どれだけ食料が欲しくても水が欲しくてもきちんと列を作って待ち続ける。避難所でも秩序正しく、相互扶助の精神がバックボーンを形成していた。こんな時だからこそ、襟を正さねばならぬという精神が被災者に漲っていた。今回もそう思う。日本人の潔さ、律儀さが世界中に報じられ称賛された。治安が大きく乱れたという話は殆ど聞かれなかった。その事を私は非常に誇りに思っている。

 

さて、今回の北海道の治安維持に対して十分な活動がなされたのであろうか。

コンビニしても、銀行にしても、町中に張り巡らされた防犯カメラにしても全て北海道電力の電気が使われていただろう。いや、道警察の電話網もそうだろう。車載の無線はちがうだろうが、それ以外は全て自家発電ではない電源を使っていたであろう。つまり通信網、情報伝達機能が全て失われたしまった異常な北海道である。想像出来ないが、想像して書く。

以下の様な、とんでもないことを考えていた輩がいたとする。

銀行強盗に入る。防犯ベルも鳴らない、カメラも作動していない。警察には連絡がつかない。白昼堂々の強盗である。ついでに隣のコンビニにも強盗をする。誰もMOBILE PHONEから110番出来ない。ATMも狙った。これまた警察への、警備会社への連絡は不可の状況である。自動車で悠々逃走である。信号だけは注意して運転する。道庁占拠も可能だったかもしれない。 そんな思いを巡らしている矢先の地震とその産物の全道停電である。      私は犯罪を次々と想定する訓練も受けていないし、想像力も欠如している。これ以上の発展は出来ない。

・・一方犯罪者も東日本の時のような後ろめたさはない。

ならば、自衛隊はどう考えどう行動したのだろうか

「有事」と警戒態勢を一層強化して臨戦態勢をしたのか?れとも「地震災害発生」「救助活動」の先遣隊を送る。その後は、どの被災地にどこの部隊を派遣といつも通りの行動をしようとしていたのか?

防衛省が中国をロシアを本当に脅威だと、或いは日本の平和と安全を犯す可能性を持ち、日本国の国土に対して野望を懐いていると真剣に考えているのであれば、今回の「全道停電」という異常事態をどんな風に、何を根拠に的確に把握したのか、どれだけ警戒態勢を強化したのか知りたい。

「急襲」されたかもしれない?「占領」を試みられたかもしれない?

名目はいくらでも後からつけられる。

北海道という広大の面積、人口400万を擁する島が突然「全道停電」「全電計喪失」「ブラック・アウト」状態に陥ったのだ。それを自国の安全を脅かす軍事行動だと解釈されて進駐される可能性はないのか。荒唐無稽な話ではない。国連憲章には「敵国条項」なるものがあり、国連常任理事国は「敗戦国」に対して無条件(国連の決議なし)に武力侵攻して制裁をすることが許されているのだ。ソ連は敗戦後満州に攻め入り、千島列島を占拠し多くの捕虜をシベリアに長期間に亘り抑留しました。又、中国も尖閣列島の占拠に対して「敵国条項」の適応を臭わせている。仲良くしなければいけませんが、油断をしてはいけません。

 

ほぼ停電も快勝され、断水地域も少なくなり始めた。救援体制も整い始めた。

「先ずは良かった」「一番大切な事は被災地への炎上活動だ」

 

                      平成30年9月10日

                           脱稿

 

日新聞の記事から   9月13日 朝刊

 地震発生(午前3時08分)直後、苫東厚真発電所の2.4号機が自動停止した。
これを受けて、札幌市の中央給電指令所では安定供給のための作業に入った。「北本連係線」は、北海道の異常を察知して60万キロワットの電力供給を始めた。北電も、一部地域を強制停電させた。これにより一時はバランスが取れていた。が、再び不安定になり、地震から17分後(3時26分)1号機が発電停止し、ほぼ同時に動いていた他の地域の発電所も停止し全道停電状態になった。
ブラック・アウトを防ぐのは電力会社の責務。地震発生から17分間に何をしていたのか。どんな運用ルールで対処していたのか。徹底的に解明する必要がある。

 北海道大停電「リスク軽視」
    巨大発電所頼り、抜け出せず

特定の電源に過度に依存する限り、大規模停電のリスクから逃げられない。小規模な発電所を分散して立地すれば、リスクを小さく出来る。

 

 

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